プレミア12では圧倒的な打撃でベストナインに!
先月、初開催された「世界野球WBSCプレミア12」は決勝でアメリカを圧倒した韓国が優勝を飾り閉幕した。3位に終わった日本だが、侍ジャパンの投打の主役が鮮烈な印象を残したことは記憶に新しい。
「投」の主役が大谷翔平ならば、「打」の主役はもちろん中田翔(ともに日本ハム)だ。予選ラウンドではメキシコ戦のサヨナラ打に始まり3戦連続で決勝打を放つなど大爆発。勢いは決勝トーナメントでも衰えず、計8試合で28打数12安打、打率.429、3本塁打15打点と暴れ回り、大谷とともにベストナインに選出された。
一方で、当初4番を務めていた中村剛也(西武)は絶不調。シーズン終盤の疲労からか精彩を欠き、決勝トーナメントのプエルトリコ戦からは先発を外れ、結局、6試合20打数3安打、打率.150、本塁打と打点は0に終わった。
今季、プロ8年目にして初めて30本塁打に到達した中田。ホームラン・キングに君臨するのは37本塁打を放った中村だ。その差は7本。手が届きそうな差にも思えるが、ふたりのレギュラーシーズンでの実績には大きな開きがある。
中田にとって大阪桐蔭の先輩でもある中村は、直近8年で6度の本塁打王に輝いている。しかも、タイトルを逃した2年は故障が響いたシーズン。2008年以降、規定打席に到達したシーズンは全て本塁打王となっているのだから恐れ入る。
調子の波を抑えた打撃を身に付けられるか
今季の中田と中村には大きな違いがあった。それは、本塁打のペースだ。中田は3月~4月に早速8本を記録すると、5月には10本を積み重ね、開幕当初は本塁打を量産。シーズン換算で50本を超えるハイペースでスタートしたが、6月以降は1カ月当たり3、3、3、2、1本と、早々にペースダウンしてしまった。
一方の中村は、3月~4月に6本、5月に9本と中田同様に好スタートを切った。背中の張りを訴え欠場したりDHに回ったシーズン最終盤は失速したものの、6月以降も1カ月あたり6、8、6、2、0と比較的コンスタントに本塁打をマークしていた。
2リーグ制以降、本塁打王の平均年齢は29.4歳。来季には27歳となる中田は間もなく円熟期を迎えようとしている。入団当初のやんちゃ坊主のような言動は鳴りを潜め、今やすっかりチームリーダーの自覚が芽生えた。
プレーでも調子の波を抑えた“大人の打撃”を身に付け、レギュラーシーズンでも先輩・中村を抜き去ることができるか。プレミア12で明暗を分けたふたりを見る限り、可能性は十分と見るが果たして。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)