インターンから常勤のスカウトに
シアトル・マリナーズは21日、スカウト部門にアマンダ・ホプキンス氏を採用したことを発表した。ホプキンス氏はこの3年、マリナーズのアマチュアスカウト部門でインターンシップ(職業体験)として働いていたという。常勤の女性スカウトは、メジャーリーグでは1950年以来のことだ。
ちなみに、セントラルワシントン大でソフトボール部の主将だったホプキンス氏の父ロン・ホプキンス氏は、現在ピッツバーグ・パイレーツのGM補佐。かつてはテキサス・レンジャーズのスカウト部長を務めるなど、スカウティング業務30年以上のキャリアを誇る大ベテランだ。
日本のプロ野球には各球団10人前後のスカウトがいるが、アメリカは国土が広いこともあり各球団30人ほど常勤している。また、スカウトがピックアップしたドラフト候補をさらにチェックする「クロスチェッカー」という役割を担う人もいる。
各スカウトの担当だが、アメリカも日本と同様エリアごとに分けている。ホプキンス氏は、アリゾナ州、コロラド州、ニューメキシコ州、ユタ州の地域を担当するそうだ。
スカウトに関する日本とアメリカでの大きな違いは、日本ではスカウト歴何十年という人間もいるが、アメリカでそういう人間はまずいない。アメリカの場合、アマチュア担当スカウトはチームの仕事をしていくキャリアの第一歩のような位置づけにあるからだ。20代前半から30歳前後までアマチュア担当スカウトを務め、球団内の職務における次のステップへ進むケースが多い。ホプキンス氏の年齢は22歳だが、彼女も将来的にはキャリアアップしていくことだろう。
客観的なデータだけでふるいにかけるアメリカ
日本のスカウトは、「これ!」と思った選手が出場する試合を何度も見に行き、プレー面に限らず人間性なども見極め、指名するかどうか検討することが多い。また、ドラフトの1位指名で競合が予想される選手を球団のスカウト総動員で視察することもある。
一方、アメリカではそういったことはない。国土が広いため、球団内に30人ほどのスカウトがいてもひとりの選手を何度も視察することは不可能だ。ドラフト会議で各球団50人くらいの選手を指名することもあり、ひとりの選手に多くの時間を費やすことはできないのである。
では、どのように選手を判断するのか。身長や体重のほかに、球速、塁間のタイムなど客観的なデータだけでふるいにかけるケースが多いという。機械的で少々味気ない気もするが、そうでもしなければカバーできないのだろう。アメリカは契約を含めてドライな部分もあるが、アマチュア選手のスカウティングにもそういったことが表れているようだ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)