なかなか決まらない前田健太の移籍先
新たに海を渡る選手が出てこなかった昨年に続き、今年も日本からアメリカへという動きに乏しい日本球界。松田宣浩のソフトバンク残留が大きく報道されている今、注目は広島からメジャーを目指す前田健太の一点に集まることとなった。
ポスティングシステムを利用して海外移籍を目指している前田。FAで注目投手が多かった今年のMLBのストーブリーグの中においても“有力選手”という評価を受けており、来季はどのユニフォームを着て戦うのかを考えながら楽しみに待っているファンも多かった。
ところが、名前こそ何度も挙がりながらもなかなか移籍先は決まって来ない。それどころか、獲得レースに参戦すると見られていたチームが先発投手の補強に着手し、前田から手を引くというパターンが増えている。
今オフの有力投手たちの流れを見ていくと、超目玉のザック・グリンキーが6年総額2億600万ドル(約253億円)でダイヤモンドバックスへ移籍。前田に対して最も関心を寄せていたとされるダイヤモンドバックスだったが、これに加えて右腕のシェルビー・ミラーの獲得にも成功しており、これで大金をかけての投手補強という選択肢はなくなったと言っていいだろう。
さらに、先発投手の補強に乗り出していたレッドソックスも、目玉左腕のデービッド・プライスを7年2億1700万ドル(約261億円)で獲得しており、前田獲得は考えにくくなった。
グリンキーの争奪戦で敗れたジャイアンツも、ジョニー・クエトとジェフ・サマージャという2枚の有力右腕をゲット。そして昨日、カージナルスもマイク・リークを5年総額8000万ドル(約96億5000万円)で獲得と、前田の行き先は徐々に絞られてきている。
現時点の最有力は...
そんな中で現在の「最有力」とされているのがロサンゼルス・ドジャース。ナ・リーグ西地区を3連覇中の強豪だ。
ドジャースは今オフに2枚看板の一角であるグリンキーを流出。代わりにマリナーズをFAとなった岩隈久志を獲得したものの、メディカルチェックで異常が見つかったためこれを破談に。結局のところ、ここまで先発を補填することができていない。
潤沢な資金を持つドジャースであれば、上限いっぱいの2000万ドル(約24億円)に設定された譲渡金と、その後の大型契約にも対応することができるため、現地で最有力候補に挙げられている。
ドジャースの他にもナショナルズやロイヤルズ、オリオールズといったあたりが先発投手の補強を模索中とされているが、現在のFA市場にはまだスコット・カズミアー(アストロズ)やヨバニ・ガヤード(レンジャーズ)、チェン・ウェイン(オリオールズ)、イアン・ケネディ(パドレス)、ダグ・フィスター(ナショナルズ)ら有力投手が多く残っているため、最有力と言われているドジャースも含めてまだ少し時間がかかる可能性もありそうだ。
FA移籍ではない前田の場合はドラフト指名権の問題がなく、それでいて若いという大きな魅力がある反面、譲渡金を支払わなければいけないというところと、何よりも実力が未知数である点が各球団の判断を鈍らせる。そのため、実績を残しているFA組の動向を待たざるを得ないというのが、ここまで注目されながらも話が進んで行かない大きな要因となっている。
とはいえ、ポスティングには入札期限というものが定められており、前田健太の場合は現地時間1月8日(金)が締め切りとなっている。あまり悠長に待っていられるものでもない。
果たして、前田健太は来年どのチームのユニフォームを着てプレーしているのか…。今後の動向から目が離せない。