近年、評価を落とす日本人野手
松田宣浩(ソフトバンク)のメジャー挑戦表明が注目を集めている。
複数の球団が興味を示しているとされており、既に条件提示も出揃っているという。12月19日には、本人の口から「行くか行かないかは年内に決める」というコメントが出るなど、その去就の最終判断はもうじき下されることとなる。
イチローが2001年に海を渡って以降、多くの日本人野手がメジャーに挑戦してきた。
一時はイチローのほか、松井秀喜ら複数の選手がメジャーの舞台で活躍したが、近年は日本人野手のメジャーでの評価は下がりつつある状況だ。一定の成果を残した選手もいるが、いずれも日本球界での華々しい活躍と比較すると少々寂しい成績であったことは間違いない。
松田がメジャーで通用するかどうかについては、評論家はもちろんファン一人ひとりでも意見が異なるだろう。それを占う意味も含め、過去の主な日本人野手の渡米直前のNPB成績、またメジャー1年目の成績を改めて振り返ってみたい。
・イチロー(オリックス→マリナーズ)
NPB(2000年) 105試 率.387 本12 点73 盗21 ☆首位打者、最高出塁率
MLB(2001年) 157試 率.350 本8 点69 盗56 ☆※首位打者、盗塁王
・新庄剛志(阪神→メッツ)
NPB(2000年) 131試 率.278 本28 点85 盗15
MLB(2001年) 123試 率.268 本10 点56 盗4
・田口壮(オリックス→カージナルス)
NPB(2001年) 134試 率.280 本8 点42 盗6
MLB(2002年) 19試 率.400 本0 点2 盗1
・松井秀喜(巨人→ヤンキース)
NPB(2002年) 140試 率.334 本50 点107 盗3 ☆本塁打王、打点王、最高出塁率
MLB(2003年) 163試 率.287 本16 点106 盗2
・松井稼頭央(西武→メッツ)
NPB(2003年) 140試 率.305 本33 点84 盗13
MLB(2004年) 114試 率.272 本7 点44 盗14
・井口資仁(ダイエー→ホワイトソックス)
NPB(2004年) 124試 率.333 本24 点89 盗18
MLB(2005年) 135試 率.278 本15 点71 盗15
・城島健司(ソフトバンク→マリナーズ)
NPB(2005年) 116試 率.309 本24 点57 盗3
MLB(2006年) 144試 率.291 本18 点76 盗3
・岩村明憲(ヤクルト→デビルレイズ)
NPB(2006年) 145試 率.311 本32 点77 盗8
MLB(2007年) 123試 率.285 本7 点34 盗12
・福留孝介(中日→カブス)
NPB(2007年) 81試 率.294 本13 点48 盗5
MLB(2008年) 150試 率.257 本10 点58 盗12
・西岡剛(ロッテ→ツインズ)
NPB(2010年) 144試 率.346 本11 点59 盗22 ☆首位打者、最多安打
MLB(2011年) 68試 率.226 本0 点19 盗2
・青木宣親(ヤクルト→ブルワーズ)
NPB(2011年) 144試 率.292 本4 点44 盗8
MLB(2012年) 151試 率.288 本10 点50 盗30
・川崎宗則(ソフトバンク→マリナーズ)
NPB(2011年) 144試 率.267 本1 点37 盗31
MLB(2012年) 61試 率.192 本0 点7 盗2
・田中賢介(日本ハム→ジャイアンツ)
NPB(2012年) 114試 率.300 本3 点32 盗13
MLB(2013年) 15試 率.267 本0 点2 盗2
抜きん出た成績を残したメジャー1年目のイチロー
こうして数字を並べると、やはりイチローの突き抜けた成績が目を引く。
首位打者、盗塁王のタイトルを獲得したほか、両リーグ最多安打でMLB新人最多安打記録を更新し、さらにア・リーグの新人王、MVP、シルバースラッガー賞、ゴールドグラブ賞を同時受賞するなど、記録ずくめのメジャー1年目となった。
また、松井秀喜や城島もNPB時代と比較すると見劣りするものの、当時の日本を代表したスラッガーらしい数字を残した。特に、米国でもクラッチヒッターと称された松井らしく、1年目での100打点オーバーが光る。
近年は青木が踏ん張ってはいるものの、やはり日本人野手の元気の無さが気になるところ。「(アメリカでの)日本人内野手の評価を上げる」という松田だが、ソフトバンク残留か、それとも……。来季はどこのユニフォームを着ることになるのだろうか。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)