開幕からローテに入りそうな原樹理と今永昇太
プロ野球選手が一度しか獲得できないタイトル、新人王。まだキャンプも始まっておらず、少々気が早いがどこよりも早く新人王を予想してみたい。今回はセ・リーグ編。
セ・リーグの新人王、過去62人のうち、投手は38人、内野手は14人、外野手は9人、捕手はひとり。最近10年で見ても、投手が7人、野手が3人と、新人王においては投手が圧倒的に有利だが、2016年シーズンの新人王候補も投手の名前が多く挙がりそうだ。
新人王候補の筆頭は、ヤクルトが1位で指名した原樹理(東洋大)。2015年の夏、巨人二軍とのプロアマ交流戦で8回まで無安打無四球ピッチングを見せるなど、抜群の制球力があり、キレのあるシュートでゴロを打たせることも得意としている。チームは14年ぶりに優勝したとはいえ、投手陣は盤石とは言い難いヤクルトの先発陣に開幕から入ることは間違いないだろう。
原の対抗になりそうなのが、DeNAに1位で指名された今永昇太(駒沢大)。原と同じ東都大学リーグで腕を磨いてきた左腕も開幕からローテに一角に食い込みそうだ。145キロ前後の速球にスライダー、チェンジアップ、カーブを投げ分ける。制球力もあり、四球で崩れるタイプではない。
今永の次に指名された熊原健人(仙台大)はリリーフタイプ。全身を使った躍動感のあるフォームから繰り出す速球の威力は抜群だ。DeNAは近年、三上朋也、山崎康晃とルーキーのリリーフ投手が活躍していることもあり、熊原もその流れに乗りたい。
高山俊は、プロでスラッガータイプになる可能性も
巨人の1位、桜井俊貴(立命館大)は、今年になって急成長を見せた投手。打者の手元で伸びてくるように見える速球で押すピッチングが大きな武器だ。先発で起用されるだろうが、変化球が抜けがちなことを考えると、より力で押せる短いイニングのほうが合っているかもしれない。カウントを取れる変化球を見つけることができれば面白い存在になる。
野手では、東京六大学の通算安打記録を更新した阪神の1位、高山俊(明治大)に注目が集まるだろう。強肩に俊足で、センターのポジションに収まる可能性は十分ある。安打記録に目がいきがちだが、長打力もあり将来的にはクリーンアップを任せられる選手だ。金本知憲新監督の現役時代のように、プロでスラッガーに生まれ変わることができるか。
ポスト谷繁の座をつかむことができれば、中日の3位木下拓哉(トヨタ自動車)も候補に入ってくる。地肩が強く馬力もあり、攻守にパワフルなキャッチャーだ。桂依央利、杉山翔大、松井雅人らとスタメンマスクを争うだろうが、どの選手もプレースタイルが似ているため、見極めが難しい。そのなかで、プロの恐さをまだ知らない木下がその分有利になるかもしれない。
捕手の新人王は過去に69年田淵幸一(阪神)と84年藤田浩雄(阪急)のふたりだけだが、両選手ともシーズンで22本塁打と打撃でアピールした。木下はどこまで迫れるだろうか。
◎本命 原樹理(ヤクルト)
○対抗 今永昇太(DeNA)
▲単穴 高山俊(阪神)
×穴 桜井俊貴(巨人)、熊原健人(DeNA)
文=京都純典(みやこ・すみのり)