年俸大幅増に込められた来季への期待
15年12月25日、柳田悠岐(ソフトバンク)が、年俸2億7000万円(推定)で契約更改した。今季年俸9000万円(推定)から一気に3倍増。過去8人しか達成者がいなかったトリプルスリーを成し遂げ、球界の注目を集め続けたのだからそれも当然だ。
もうひとりの達成者・山田哲人(ヤクルト)も8000万円(推定)から2億2000万円(推定)にジャンプアップ。それぞれ、今季の活躍への評価としてはもちろん、来季のさらなる飛躍を期待されての金額である。
そこで気になるのがトリプルスリー達成者の翌年の成績だ。トリプルスリーを複数回達成した選手は過去にはいない。やはり成績は下がってしまうのか? あるいはひとつの指標だけでも伸ばすことができたのか? 柳田、山田の今季成績と併せて、過去のトリプルスリー達成者の成績、翌年の成績を振り返ってみる。
岩本義行(松竹)
130試 率.319 本39 点127 盗34(1950年/38歳)
110試 率.351 本31 点87 盗10(1951年/39歳)
別当薫(毎日)
120試 率.335 本43 点105 盗34(1950年/30歳)
108試 率.309 本16 点67 盗22(1951年/31歳)
中西太(西鉄)
120試 率.314 本36 点86 盗36(1953年/20歳)
130試 率.296 本31 点82 盗23(1954年/21歳)
簑田浩二(阪急)
127試 率.312 本32 点92 盗35(1983年/31歳)
119試 率.280 本26 点88 盗5(1984年/32歳)
秋山幸二(西武)
130試 率.301 本31 点99 盗31(1989年/27歳)
130試 率.256 本35 点91 盗51(1990年/28歳)
野村謙二郎(広島)
131試 率.315 本32 点75 盗30(1995年/29歳)
124試 率.292 本12 点68 盗8(1996年/30歳)
金本知憲(広島)
136試 率.315 本30 点90 盗30(2000年/32歳)
140試 率.314 本25 点93 盗19(2001年/33歳)
松井稼頭央(西武)
140試 率.332 本36 点87 盗33(2002年/27歳)
140試 率.305 本33 点84 盗13(2003年/28歳)
柳田悠岐(ソフトバンク)
138試 率.363 本34 点99 盗32(2015年/27歳)
山田哲人(ヤクルト)
143試 率.329 本38 点100 盗34(2015年/23歳)
翌年に30盗塁を達成したのは秋山幸二だけ
8人のうち、翌年も「3割30本30盗塁」を達成したのは、打率と本塁打が4人、盗塁は秋山幸二ただひとりだ。盗塁がひとつの壁となり得ると見ることができる。また、3つの指標のうち、ふたつの指標をクリアしたのは岩本義行、秋山、松井稼頭央の3人。
トリプルスリーという、そもそも達成者が非常に少ない金字塔を打ち立てたのだから当然といえば当然かもしれないが、何よりも難しいのが翌年に成績を伸ばすということ。なんと、翌年の成績が伸びたのは、岩本の打率に、秋山の本塁打と盗塁だけである。
ただ、柳田と山田に関しては、16年はまだプロ6年目。毎年、個人成績をぐんぐん伸ばしている若手の成長株だ。史上初のトリプルスリー連続達成も十分にあると見るが、果たしてどうだろうか。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)