ここ2年は低迷
年俸が高いのに、活躍できていない選手は、肩身が本当に狭いだろう。無意味とまではいわないが、複数年契約の代償ともいえるのではないか。そんな選手が巨人には多い。今季の契約更改で話題になったのが杉内。5億円を5000万円に、自ら志願したというから驚いたが、その反骨心は、今季につながってほしい。もう一人の高額年俸、内海は現状維持の4億円で更改。昨季は5試合で2勝1敗…。1勝で2億円も稼いだことになる。
さて、巨人で一番、崖っぷちなのは村田だろう。日大から横浜へ入団したのが03年。2年連続の本塁打王を獲得するなど、長打力を誇り、12年に巨人へ移籍。13年には2カ月連続で月間MVPに選出されるなど、活躍したが、14、15年と低迷。
特に15年は出場機会が減り、今季はレギュラーの保証もない。今季年俸は3億円(推定)だが、試合に出られなければ、「引退」の危機に直面する。
三塁手争いは熾烈
巨人の三塁手争いは熾烈だ。村田の競争相手は、まずは新外国人のルイス・クルーズ。千葉ロッテから移籍してきた本格的な助っ人。長打力はもちろん、守備にも定評があり、背番号が「11」。巨人の野手で11番を背負うのは、あのジョン・シピン以来。その期待の高さがうかがえる。
もう一人は、岡本和真。プロ入り2年目の19歳だが、将来の巨人の4番候補。智弁学園時代は、高校通算73本塁打を放つなど、注目を集めた。まだプロでの実績はほとんどないが、期待は相当に高い。岡本が開幕から打ち出すようだと、サード・岡本、セカンド・クルーズに定着しそうで、そうなると村田は控え。厳しい状況だ。
ただ、村田は、今季にかける思いは並大抵ではない。1月、自身初の海外自主トレをグアムで行った。ティー打撃などを精力的にこなし、「何としてもレギュラーで活躍したい」と男・村田の意気込みを語った。昨季は打率.236、12本塁打。
肉離れや肘の痛みで2度の登録抹消を経験。「チームに迷惑をかけた。もう一度、ゼロからの気持ちで野球に取り組みたい。去年の反省を生かし、何かを変えないといけない」と話している。これまでの栄光を考えると、昨季は物足りない成績だった。
まだまだ終われない
ただ、まだ35歳。まだ老け込む年じゃないと期待するファンも多い。30本塁打を打てる力は、まだ村田にはあるはずだ。
13年夏の活躍は、ファンの記憶に残っている。7月には月間打率4割を記録し、巨人移籍後初の月間MVPに輝いた。翌8月にはセリーグの月間安打記録となる46安打を記録。最終的には自身最多となる164安打、25本塁打。ゴールデングラブ賞も獲得した。打率も.316をマーク。あらたに3年10億円の大型契約を結んだ。
言い訳しない性格が好きだという村田ファン。黙々と打ち込む姿には、男の生き様を感じる。最終的には、岡本にレギュラーを奪われることになるのだろうが、1年でも2年でも長く、村田のプレーを見たい。村田本人は「40歳までは、野球をやめない」と断言した。あと5年。村田の勇姿が見られるのかと思うと、ゾクゾクする。巨人ファンなら、誰しもが、そう思うだろう。