見かけによらず?温厚で愛嬌ある新助っ人
「数年前から日本でプレーすることに興味があった。状況に応じた全力プレーでチームの勝利に貢献したい」。1月末に行われた広島の新助っ人3選手による入団会見で、ジェイソン・プライディはこう語った。
トレードマークの顔面を覆うヒゲは、NBAのスター選手ジェイムズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)を彷彿とさせる。一見近寄り難いその風貌だが、入団会見では「ママに笑顔が可愛いんだから笑いなさいって言われるんだ。だから笑顔は得意だよ」と、会場を和やかにしてみせる愛嬌も披露した。
昨シーズンはアスレチックスとマイナー契約。主戦場をアスレチックス傘下の3Aチーム、ナッシュビル・サウンズに置いた。そこで打率.310、20本塁打、89打点の好成績を残し、カープスカウト陣の目に留まった。
長打力もさることながら、特筆すべきは広角に打ち分けられる打撃スキルの高さだろう。
ツインズ在籍時に出会ったスーパースター達の存在が、その「強み」に起因していると彼は述べる。通算3319安打を放ったポール・モリターに、通算3053安打のロッド・カルー、そして通算1917安打を誇るトニー・オリバという3人だ。
「打撃練習でのアプローチの仕方、気持ちの持ち方。ツインズ時代のそうした教えが、私の基礎にある」と語る彼のDNAには、時代に名を刻む3人の魂が確かに宿っている。
一方で、「パワーヒッターとしての役割だけでなく、足を生かしたスモールベースボールもできる」と本人が語るように、ベースランニングでも全力疾走を怠らない姿は、最後まで諦めない精神に美徳を覚える日本人にとって魅力的に映るだろう。
自身のツイッターでは、ファンと交流を図るほどサービス精神も旺盛だ。
「僕ら野球選手はファンのサポートがあってこそだから、これからもファンのためにやれることをやっていこうと思うよ」と話す彼の笑顔から、懐の深さを窺い知る。
人は見かけによらず。日本の教訓は海を越えた。どことなく憎めない愛嬌ある彼の笑顔が、広島に歓喜をもたらすことを期待したい。