出場停止は濃厚か
ロッテに激震が走った。
新外国人のヤマイコ・ナバーロが、銃刀法違反の容疑で現行犯逮捕。バッグに入っていた実包1発が原因だった。
長打力不足解消の救世主としてやってきたナバーロは、20日から開幕したオープン戦でも持ち前の長打力を発揮。初戦で中日の若松駿太から場外まで運ぶ挨拶代わりの特大弾を放つと、続く21日の試合でも日本ハムの武田勝からバックスクリーン直撃の一発。2試合連続本塁打という上々のスタートを見せ、ファンからの期待も日に日に高まっていた中での“事件”であった。
本人は取り調べに応じ、実弾が自分のものであることは認めているものの、それがバッグに入っているという認識はなかったとのこと。球団は22日に緊急会見を開いて謝罪。今後については「警察の事情聴取が終わっていない。本人から直接事情を聴いた上で、速やかに処分を決めたい」とし、処分に関しての明言はなかった。
ただし、過去に同じような事件を起こした中日のマキシモ・ネルソンは、この時は嫌疑不十分で不起訴にはなったものの、球団側から3カ月間の出場停止処分を受けた。過去にこういった例があるだけに、不起訴処分となった場合でもお咎め無しとなることは考えにくい。序盤戦はナバーロ抜きでの戦いを強いられることになることが予想される。
チームの危機を救うのは...
昨シーズン、ロッテのチーム本塁打85は楽天と並んでリーグ最少だった。
加えてチームで2番目に多い16本塁打を放ったルイス・クルーズが巨人へ移り、今江敏晃も楽天へとFA移籍。頼みの主砲アルフレド・デスパイネも、カリビアンシリーズとキューバリーグを戦った疲労から来日が遅れており、来日のメドは3月上旬となっている。まさに緊急事態だ。
ショートする分を埋める方法があるとすれば、現有戦力の台頭がひとつ挙げられる。
昨年は清田育宏が大ブレイク。クルーズと並ぶ16本塁打を放った。清田のように、前年までくすぶっていた選手が出てくる“嬉しい誤算”があれば、離脱のショックも薄めることができるだろう。
筆頭候補となるのが、“アジャ”こと井上晴哉。そのスケールの大きさとキャラクターで入団当初から大きな話題を集め、64年ぶりの新人による開幕4番という快挙も成し遂げながら、ここまで2年間通算の一軍出場は41試合。昨年は左手指の骨折にも泣き、わずか5試合の出場で本塁打0に終わった。
迎えた3年目のシーズン…まだ3年目だが、大学から社会人を経由した男は7月で27歳を迎える。一軍で主力を張っていてもおかしくはない年齢であり、うかうかしていられない年齢にもなる。
今キャンプでは二軍スタートも、12日から一軍に合流。14日に行われた台湾・Lamigoとの練習試合で3安打の大暴れを見せると、20日のオープン戦開幕戦では三塁打に2ランと猛アピール。「ナバーロが打ったので俺も打たないと」と助っ人をライバル視しながら結果を残していた。
「幕張のアジャ」がついに目覚めるか…。序盤のロッテの命運を握るのは、この男かもしれない。
緊急補強という選択肢
また、手っ取り早い処置としては、緊急補強という選択肢もある。この時期にフリーの選手を連れてくるという点でリスクは否めないものの、背に腹は代えられない。
たとえば、楽天を退団したウィリー・モー・ペーニャは候補として挙がってもおかしくない。調子の波はあるものの、パンチ力は折り紙付。昨年も楽天で125試合に出場し、本塁打は17本。まだまだパワーは衰えていない。
さらに、自由契約選手の中にビッグネームが一人いる。ソフトバンクを退団した松中信彦だ。
球界最後の三冠王達成者であり、その実績は誰もが認めるところ。ここ3年間は一軍で本塁打0に終わっているものの、昨年もファームでは212打席で11本の本塁打を放っている。
複数球団にテストを申し込みながらも拒否されたことが報じられているが、本人は「いつ呼ばれてもいいように、悔いのない、最高の準備をしたい」としている。
これが現役続行への最後のチャンスになるか…。ロッテと松中の動きには注目したい。
最後に大穴候補として挙げたいのは、マリナーズとマイナー契約を結んだ韓国の大砲・李大浩。
ソフトバンクを退団し、念願だったメジャー挑戦が実現。しかし、契約はマイナー契約であり、開幕メジャー入りが叶わないとなれば、契約を解除してFAとなる「オプトアウト権」がついた契約になっているという。
もしFAとなった場合には、日韓を含めた前球団と交渉が可能になる。アメリカではかなり厳しい条件提示となったこともあり、日本のオファーが魅力的に映る可能性も大いにある。
あくまで「FAになったら…」という仮定の話ではあるのだが、あり得ない話ではないだろう。
ロッテはこの窮地をどうやって耐えしのぐのか…。開幕までの大きな注目ポイントとなりそうだ。