10年前の球界を席巻していた“松坂世代”
春季キャンプで、松坂世代が復活ののろしを上げようとしている。
今から10年前の2006年、プロ野球界は「松坂世代」が席巻していた。
この年初めて開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、日本代表に松坂大輔、和田毅、杉内俊哉、藤川球児、久保田智之の5名が選出。日本のエースとして活躍した松坂は世界一に大きく貢献し、大会MVPも受賞した。
レギュラーシーズンでは、当時横浜の村田修一がプロ入り初の30本塁打超えとなる34本塁打をマークし、長距離バッターとして開眼。日産自動車から広島に入団した梵英心はセ・リーグ新人王を受賞する。世代の中心である松坂も、主要タイトルこそ逃したものの17勝を挙げ、オフにはアメリカへと旅立った。
あれから10年…。30代半ばに差し掛かり、ベテランの域となった松坂世代は苦境に立たされている。
昨年、ソフトバンクへ移籍して日本球界復帰を果たした松坂だったが、ケガの影響で登板はなし。2012年から村田とともに巨人へ移籍し、背番号18を背負った杉内も、股関節の故障などで不本意なシーズンを送り、年俸5億円から5000万円への大減俸を申し出た。
また、東出輝裕、木佐貫洋、森本稀哲らは現役を引退。プロ野球全体を見れば大谷翔平、藤浪晋太郎ら若い世代が躍動し、いまや田中将大、前田健太、柳田悠岐ら「88年世代」が中心。「松坂世代はもう終わった」という声も聞こえてくるようになった。
松坂に復調の気配、さらに心強い2人が海外から復帰
いやいや、まだ終わらない。
世代の中心である松坂は、復活へ向けて春季キャンプで順調な調整ぶりを披露している。
キャンプ初日からブルペンに入り、16日にはキャンプ初のフリー打撃に登板。21日のフリー打撃ではチームの主砲・柳田と“対決”する場面も見られた。
ただし、昨年右肩を手術しているだけに、慎重な調整を行うことも必要となる。競争の激しいソフトバンク先発陣に加わり、マウンド上で躍動する背番号18の姿をファンは待っている。
さらに、今年は2人の「松坂世代」のピッチャーが、それぞれの古巣のチームへ帰ってきた。和田毅と藤川球児だ。
2012年にメジャー挑戦を決断し、オリオールズへ入団した和田だったが、左ひじを痛めてトミー・ジョン手術を受けた。同球団ではメジャーで登板することなく自由契約になるも、2014年に入団したカブスではシーズン後半に先発投手として登板。4勝を挙げ、オフの日米野球ではメジャー選抜チームの一員として名を連ねている。
藤川は和田より1年遅れてアメリカへ渡り、カブスへ入団。序盤は活躍するも和田と同じくひじを痛め、トミー・ジョン手術を受ける。手術後は精彩を欠き、昨年はシーズン途中で所属していたレンジャーズを自由契約された。
その後、四国独立リーグplusの高知でのプレーを経て、4年ぶりの阪神復帰が決定。これまでのリリーフだけでなく、今回は先発としての期待も挙がっており、どの役割を任されることになるのか注目だ。
「松坂世代、復活へ」。この10年で酸いも甘いも経験した男たちが、今季のプロ野球を盛り上げる。