通算犠飛王は野村克也氏
犠飛。犠牲フライ。これを正確に知っている人は意外に少ない。犠飛とは、どんな場合に記録されるのか。
一般的な定義は、以下の通りだ。まず、無死または一死で三塁走者がいる場合に、打者が外野飛球を放ち、外野手が捕球して、三塁走者がタッチアップして本塁に生還すること。
また外野に飛んだファウルフライの場合にも犠飛となる。なので、外野手はわざとファウルフライを捕らないケースもある。この場合、公式記録員が故意と判断したときには失策は記録されない。
ただ、犠飛は犠打と異なり、得点を挙げた場合にのみ記録される。二塁走者や一塁走者がタッチアップで進塁しても、犠飛にはならない。犠飛は打数には含まず、打率計算では四球と同じ扱い。ただ、連続安打や連続本塁打などの連続記録は中断される。
ざっと、こんなところだ。さて日本プロ野球の犠飛王は誰なのか。通算記録10位までは以下の通りだ。
1位 野村克也 113
2位 加藤英司 105
3位 王 貞治 100
4位 門田博光 95
5位 長嶋茂雄 90
5位 張本 勲 90
7位 山内一弘 88
7位 落合博満 88
9位 大杉勝男 86
10位 山本浩二 79
15年シーズン終了時での球界の犠飛王は、野村克也だった。予想通り、ホームランバッターが並んだ。この順位に驚きはまったくない。だが、よく見ると現役選手が一人もいない。現役最多は、12位で福浦和也(千葉ロッテ)の74。続くのは、17位で新井貴浩(広島)の69。これは、どういうことなのだろうか。
シーズン最多犠飛は、70年の大杉勝男(当時・東映)で15。これまで、シーズン11以上の犠飛を放った選手は12人。その中で、現役選手は中島裕之(オリックス)と今江敏晃(楽天)の2人だけなのだ。現在より、試合数も少なかった(130試合)時代の方が、犠飛が多かった。ボールを遠くへ飛ばす技術が、昔の野球選手の方があったということになる。
本塁打を狙うより、ヒットを確実に打つ。そんな時代なのかもしれない。本塁打数より打率。野球指導者も、そんな考えになってきているのだろう。