活躍が光る韓国人打者
「復帰戦で2本塁打!」「打率.478」「シーズン33本塁打ペース」……。
これらはすべて韓国人メジャーリーガーが今季記録した(している)数字である。
韓国プロ野球(KBO)を経て渡米した韓国人打者は、現在4人がメジャーに定着。いずれもKBOで実績を残したメジャー1~2年目の中長距離砲だ。彼らのここまでの成績は以下の通り。
【韓国人打者4人の成績】※現地時間7日現在
・姜正浩(パイレーツ)
2試 率.286(7-2) 本2 点4
・金賢洙(オリオールズ)
9試 率.478(23-11) 本0 点2
・朴炳鎬(ツインズ)
25試 率.268(82-22) 本7 点12
・李大浩(マリナーズ)
16試 率.281(36-9) 本4 点6
厳しい前評判を覆す活躍ぶり
李大浩は昨季までは日本のソフトバンクでプレー。今季は青木宣親、岩隈久志と同僚ということもあり、日本のファンも目にする機会は多い。他の3人が所属するチームは中継自体少ないが、その活躍ぶりが取り上げられる機会も徐々に増えてきている。
4人の中で唯一、2年目のシーズンを迎えるのが姜正浩。昨シーズンは三塁と遊撃を務め、打率.287で15本塁打、58打点と及第点の活躍を見せた。
シーズン終盤に併殺崩しのスライディングの餌食となって大ケガを負い、その影響が心配されたが、現地5月6日の復帰戦でいきなり2本塁打を放って完全復活をアピール。今やチームに欠かせない存在になっている。
オリオールズの金賢洙はオープン戦で結果を残せず、開幕前にマイナー行きが通達されるも、契約を盾にこれを拒否したことで話題に。ここまで出場は9試合と少ないが、23打数11安打と限られたチャンスで見事に結果を出している。
最後は朴炳鎬。昨秋のプレミア12で韓国の主砲として活躍した男は、ここまで25試合の出場で7本塁打をマーク。MLB公式サイトに掲載された予測では、シーズン終了時には33本塁打まで伸ばすとされている。4月17日までは1割台だった打率も.268まで引き上げ、パワーだけではないところも見せ始めた。
4人の共通点とは…
4人のプレーを目にしたことがあるファンならば、彼らの共通点はすぐに推測できるだろう。いずれもどっしりした体形が特徴的な、いかにも“スラッガー”という風貌である。4人の身長と体重は次の通りだ。
姜正浩 183センチ/100キロ
金賢洙 188センチ/95キロ
朴炳鎬 185センチ/100キロ
李大浩 193センチ/113キロ
日本のプロ野球で彼らに近い体形の選手といえば、日本ハムの中田翔(183センチ/100キロ)や、ソフトバンクの柳田悠岐(188センチ/93キロ)が思い浮かぶ。
過去にメジャーでプレーした選手なら、松井秀喜氏や中村紀洋氏といったところか。松井氏は、メジャーでは中距離ヒッターとしてチームの勝利に貢献する打撃に徹底。2年目に31本塁打を記録したが、巨人時代に見せた“スラッガー”としては物足りなさが残ったのも事実だ。
では現在メジャーでプレーする日本人打者と比較するとどうか。
イチロー 180センチ/79キロ
青木宣親 175センチ/82キロ
川崎宗則 180センチ/79キロ
体格は小柄。タイプ的には1~2番を打つ選手が結果的に生き残っているが、パワーの面では韓国人打者には到底及ばない。
それでも、前述した中田や柳田、さらに筒香嘉智(DeNA)、中村剛也(西武)など、メジャーに挑戦すれば「30本塁打はいけるのでは?」と思わせる選手は日本のプロ野球界にもいる。
韓国人打者の活躍に即発され、近い将来メジャーを目指す日本人スラッガーは出てくるだろうか…。韓国人打者4人には、日本人打者に刺激を与えるような活躍に期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)