4番、6番、8番の打率はリーグトップの数字
開幕前の評価は低かった中日だが、20勝18敗3分で首位・巨人に2ゲーム差の2位につけている。
セ・リーグトップの13本塁打を記録している新外国人のダヤン・ビシエドを中心とした打線は、チーム打率がリーグ2位の.265。出塁率もリーグ3位の.327を残しているが、得点はリーグ4位の165得点と効率の良い攻撃をしているとは言えない。
その要因は、上位打線がうまくかみ合っていないことにある。中日の1~8番の打順別成績は以下の通りだ。
【中日・打順別成績】※成績は5月16日終了時点
1番 打率.287(3位) 出塁率.353(3位)
2番 打率.244(5位) 出塁率.293(5位)
3番 打率.208(6位) 出塁率.297(5位)
4番 打率.310(1位) 出塁率.399(1位)
5番 打率.303(2位) 出塁率.347(3位)
6番 打率.272(1位) 出塁率.318(2位)
7番 打率.271(3位) 出塁率.315(5位)
8番 打率.280(1位) 出塁率.344(1位)
※( )内はリーグ内順位
4番、6番、8番はリーグトップの打率を残す反面、2番は5位、3番は6位と上位打線と下位打線で大きな差がある。
長年「ポスト谷繁」が課題と言われてきたチームだが、今季は杉山翔大が打率.304で1本塁打。桂依央利も打率こそ.227だが、3本塁打と長打力を発揮。打撃面では大きな進歩を見せている。
下位打線が好調なのはいいが、4番ビシエドを活かすためには1~3番により多くの出塁を高めていく必要がある。
3番に入ると調子を落としてしまう負の連鎖…
開幕から全試合で1番スタメンの大島洋平は、4月までは打率.277、出塁率.326とリードオフマンとしては物足りなかったが、5月は打率.320、出塁率.424と調子を上げてきた。
5月に入ってから2試合を除いて2番スタメンの荒木雅博も、4月までは打率.238、出塁率.273だったが、5月は打率.333、出塁率.360と好調だ。
そこで問題となるのが3番である。開幕は2年目の遠藤一星が3番で起用されていたが、打率が1割台に低迷した上に、課題の守備でも不安定な部分を見せ、4月4日に一軍登録を抹消された。
その後は開幕から好調だった高橋周平が3番に入ったが、4月30日の広島戦で右手の有鉤骨を骨折し、戦線離脱。ちなみに、高橋の3番での成績は打率.211、2本塁打だった。
そして、いまは平田良介が3番で起用されている。シーズン通算では打率.286、出塁率.384、4本塁打だが、5月の成績は打率.235、出塁率.317と調子を落としている。
3番での成績を見ても打率.200で出塁率は.288、1本塁打と役割を果たしているとは言えない。不思議なことに、今季の中日の選手は3番に入ると調子を落としてしまう傾向がある。
4番のビシエドに加え、5番のリカルド・ナニータもリーグ4位の打率.341と好調だ。3番の調子が上がってくれば、より強力な打線になるのは言うまでもない。
一方で、チーム防御率はリーグ5位の3.90。うち、先発陣の防御率がリーグ5位の4.46で、リリーフ陣の防御率はリーグトップの2.89だが、リリーフ陣も数字ほどの安定感はない。
近年の中日は、投手を中心とした守りの野球がスタイルだったが、今季は打線で投手陣をカバーする戦いになりそうだ。
そのためにも、3番がどれだけ打てるか…。球団史上ワーストの4年連続Bクラスを回避できるか否かは3番がカギを握っている。
※数字はすべて5月16日終了時点のもの
文=京都純典(みやこ・すみのり)