スランプに陥った昨季からチームに欠かせぬ存在へ
梨田昌孝新監督の下、2年連続最下位からの脱出を狙う楽天だが、5月23日現在15勝25敗2分で最下位と苦しい戦いが続いている。チーム防御率4.63はリーグ最下位で、とくにリリーフ陣の防御率は5.99と壊滅的な状況だ。
一方で、チーム打率はリーグ3位の.263。180得点はリーグ5位だが、打撃陣は比較的健闘していると言っていい。開幕からスタメンに定着している新人の茂木栄五郎や、チームトップの本塁打、打点を記録しているゼラス・ウィーラーの活躍が目立つが、打率.346でリーグ首位打者の岡島豪郎の存在も忘れてはならない。
岡島は、2011年ドラフト4位で白鴎大学から捕手として楽天に入団。ルーキーイヤーの2012年から一軍の試合に出場し、2年目の2013年シーズン途中からは「1番ライト」としてスタメンに定着。規定打席には届かなかったが打率.323を残し、球団史上初のリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。
2014年からは、登録ポジションが捕手から外野手に変更され、シーズンを通してレギュラーとして出場。142試合で打率.283、7本塁打と中心選手としての役割を果たした。ところが、昨季は背中を痛めたこともあり極度の不振に陥ってしまう。最終的にも41試合の出場にとどまり、打率.168と本来の実力からすれば信じられない成績に終わった。
だが迎えた今季、開幕戦でいきなり4安打、全5打席出塁の活躍を見せる。途中ケガで戦列を離れたが、出場した32試合すべてで1番打者として出場し、チームには欠かせない存在となっている。
楽天生え抜きの首位打者となれば球団史上初の快挙!
現在のところ、2位に2分以上の差をつけて首位打者に立つ岡島だが、ノーヒットに終わった試合が34試合中13試合もある。この数字自体は褒められたものではないが、1安打と2安打の試合がそれぞれ6試合に対し、3安打以上の猛打賞がリーグ最多の9試合と、一度打ちはじめたら止まらない傾向があるのも岡島の特徴だ。
第1打席で安打を記録した試合は10試合あるが、そのうち5試合が猛打賞。第1打席だけの安打で終わった試合はたった2試合だけだ。1打席目で安打を打てるかどうかが、その試合における岡島の調子を計るひとつの目安となりそうだ。
左右投手別では、右投手に対し.330、左投手に対し.389。ホームとビジター別の成績でもホームで.364、ビジターで.329と、そこまで大きな差はない。課題をあげるとすれば、ナイターでの成績だろう。デーゲームでは.372とよく打っているが、ナイターでは.286。猛打賞を記録した9試合中6試合がデーゲームで3試合がナイターと、ナイターでの成績が大きく落ちている。それでも.280台は立派だが、より高みを目指すためには苦手な部分を少なくしたい。
楽天の選手が首位打者となれば2008年のリック・ショート、2009年の鉄平以来3人目。生え抜きでは岡島が初めてとなる。チームが苦戦するなか、1打席でも多く出塁し、上昇のきっかけを作ってほしい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)