早くも8連勝を3回記録!驚異の強さを見せるソフトバンク
日本シリーズ3連覇の偉業を狙うソフトバンクが、今季も圧倒的な強さを見せている。
6月6日現在、34勝15敗5分の勝率.694でリーグ首位に君臨。2位のロッテに7.5ゲームの差をつけ、今年も独走モードに入っている。
5月22日の西武戦から31日の中日戦にかけては、今季3度目の8連勝を記録。シーズン50試合までに8連勝を3度記録したのは、プロ野球史上初めてのことだ。ここまで来ると、まさに“歴史的な強さ”である。
打線の方は李大浩がメジャーへと移籍した穴を感じさせず、3番の柳田悠岐から4番・内川聖一、5番・長谷川勇也、6番・松田宣浩、7番・中村晃と抜け目ない左右ジグザグの打順を構築。チーム打率こそパ・リーグ3位の.260ながら、得点はリーグ最多の259得点。スキのない攻撃が光る。
それでいて投手陣の方も、12球団トップの防御率3.05を記録。こちらも昨季10勝を挙げたジェイソン・スタンリッジがロッテに移籍したが、メジャーから復帰した和田毅が勝ち星を量産。リック・バンデンハーク、武田翔太、千賀滉大、中田賢一、東浜巨とともに盤石の先発ローテーションを築いている。
リリーフ陣を見ても、抑えのデニス・サファテは今年も健在だが、サファテにつなぐ役割が少し変わった。昨季は防御率5.82と不振に陥った森福允彦が調子を取り戻し、森唯斗も力強い球を武器に7ホールドを記録。この左右のリリーバーとともに、サファテへと繋ぐセットアッパーの役割を任されているのが新外国人のロベルト・スアレスだ。
スアレスにとってグッドタイミングな交流戦開幕?
昨年はメキシカンリーグでプレーし、2年ほど前までは草野球に興じていたという異色の経歴が話題となったスアレス。ダイヤの原石としてメジャー球団からも熱視線が送られていたが、争奪戦の末にソフトバンクが獲得した。
4月中旬に五十嵐亮太がケガで離脱すると、スアレスが一軍に昇格。4月10日のオリックス戦では、来日初登板を果たした。ここまで21試合に登板して1勝2敗、ホールドは11個。防御率1.71という成績は、セットアッパーとして十分な数字である。
スアレスの魅力といえば、なんといってもストレート。常時150キロ前後を記録するストレートと、130キロ中盤のスライダーが投球の8割以上を占めるパワーピッチャーだ。
21イニングを投げ、27奪三振。奪三振率は11.57と申し分ない数字を残しているが、このスアレスには不安な点もある。
初登板から10試合目まではノーヒットに抑えた登板が7試合あったが、11試合目以降の11試合はノーヒットに抑えた試合が3回しかない。失点も最初の10試合は1点だったが、それ以降は3失点と打たれる場面が目立つようになってきた。
どこか力任せに投げているように見えるフォームは体の開きが早く、150キロ以上のストレートを投げても空振りをとれなくなってきた印象を受ける。対戦を重ねた相手打者が、スアレスのストレートに慣れてきていることも要因のひとつだろう。
もっとも、工藤公康監督はスアレスを獲得した際に「時間はかかるかもしれないが、良くなる可能性はある」とコメントしており、まだ25歳という将来性を見込んでの獲得だった。その経緯を考えれば、この時期に一軍で十分な戦力として投げているのは“嬉しい誤算”と見ることもできる。
また、失点が増えてきたタイミングでセ・パ交流戦がはじまった。セ・リーグの打者のほとんどは、まだスアレスの球を体感していない。そのことを思えば、リーグ戦が再開するまでに実戦を重ねながら、自らのスタイルを改めて確認することもできるだろう。
まだまだ発展途上――。伸びしろでいけば、それこそ無限の可能性を秘めた男。この楽しみな投手もまた、これからのソフトバンクの強さを支えていく力となるだろう。
文=京都純典(みやこ・すみのり)