2位に4.5ゲーム差――優勝確率は脅威の83%!
3年連続日本一を狙うソフトバンクの前半戦は、54勝24敗5分。オールスター前に貯金を30に乗せたのは、ソフトバンクが2005年に54勝24敗1分で記録して以来11年ぶりのことである。
交流戦の終盤から日本ハムが猛追し、球団新記録の15連勝を記録して2位に浮上したが、それでもまだ4.5ゲーム差も開いている。前後期制の時期を除き、パ・リーグで前半戦終了時に首位が2位に6ゲーム差以上つけたのは2002年の西武以来14年ぶり19度目。過去18度のうち15度優勝していて、ソフトバンクの優勝確率は脅威の83%である。
このままソフトバンクが逃げ切るのか、それとも大逆転はあるのか――ソフトバンクの戦いぶりから、対策を探ってみたい。
今季、ソフトバンクが先制した試合の勝敗は41勝12敗4分で、勝率.774。先制を許した試合では13勝14敗1分だが、王道ともいえる“先行逃げ切り”で勝利を重ねてきた。
イニング別得点を見ると、最多は初回の59点。8回の52点、4回の49点、3回の48点と続く。やはり序盤での得点が多い。
ソフトバンクが初回に先制した試合は31試合あるが、そのうち21試合で勝利を収めている。ソフトバンクが初回に先制したものの、負けか引き分けに終わった試合は10試合で、そのうち5試合が5回までに同点もしくは逆転を許している。相手チームとしては先制を許しても5回までには追いつくことが重要になる。
ソフトバンクに先行逃げ切りを許さないためには
では、ソフトバンクが初回に先制を許したケースはどうだろうか。ソフトバンクが初回に先制を許して負けた試合は7試合。その7試合で相手チームはソフトバンクに5回まで逆転を許していない。つまり、序盤のリードを保ったまま勝っている。
ソフトバンクが初回に先制を許したが逆転勝ちを収めた試合は8試合ある。そのうち7試合が5回までに逆転している。
これらをまとめると、ソフトバンクと対戦するチームはソフトバンクに先制を許しても、最低でも5回までに追いつくこと。ソフトバンク相手に先制した場合は、5回まではリードを保つことで勝率が上がるということになる。先行逃げ切りを許さない、シンプルな戦いがなにより重要なのである。
そういった展開に持ち込むためには、ソフトバンクのどの打者を抑えればいいのかということに行き着く。昨季、トリプルスリーを達成した柳田悠岐だが、今季は打率.298、10本塁打とこの数字だけを見れば物足りない。しかし、第1打席に限れば71打数26安打、打率.366と高い成績を残している。
4番に座る内川聖一も、第1打席は73打数26安打、打率.356と高打率だ。2打席目は82打数33安打、打率.402とさらに高い打率を残している。3打席目は打率.227、 4打席目も打率.233と下がることから、序盤に内川をいかに抑えるかがポイントになる。
序盤で柳田と内川を抑え、ソフトバンクに先行逃げ切りを許さない。もちろんそう簡単なことではないが、この積み重ねをしない限りソフトバンクには勝てない。パ・リーグ後半戦、ソフトバンクの戦いを見るうえで初回から序盤の攻防に要注目である。
文=京都純典(みやこ・すみのり)