コラム 2016.07.27. 17:30

これぞ“衰え知らず”…まだまだ進化するイチローのスゴさ

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メジャー3000安打の偉業まであと「3」と迫っているイチロー

大幅に増加した『四球』


 現地時間26日のフィリーズ戦。5試合ぶりの先発出場を果たしたイチローは、8回の第4打席で外寄りのボールをレフトへ弾き返す安打を放ち、メジャー通算2997本目の安打をマーク。史上30人目の3000安打まで、残り3本とした。

 今季の成績は187打数の62安打、打率.332。規定打席には達していないが、メジャーのキャリア16年のなかで5番目に高い打率だ。

 昨季は打率.229と極度の不振に陥り、「さすがのイチローも衰えたか……」と誰もが思ったが、そういった声を一蹴するような成績を残しているのだ。

 通算安打や打率の方に目を奪われがちだが、今季のイチローの成績を見ていくと、これまでとは違った傾向が出ている。四球の数が大幅に増えているのだ。

 ここまで213打席で23個の四球を選んだ。割合にして10.8%となる。

 メジャー通算での割合が6.0%であり、過去最も高かったシーズンでも2002年の9.3%というところを見ても、今季のイチローがいかに四球を選んでいるかがわかる。

 加えて23の四球に対し、喫した三振は18個。三振よりも四球のほうが多いのは、メジャーのキャリアで2002年(68四球62三振)しかない。普通であれば年齢を重ねるごとに動体視力が衰え、四球が減って三振が増えるものだが、イチローには当てはまらないのである。


大きく減った『初球打ち』


 イチローといえば、基本的には早打ちの選手だ。積極的に打っていき、粘って四球を選ぶよりもヒット打つことによって出塁するタイプである。

 メジャー通算のボールカウント別の成績を見ても、初球を打った打数が1122もあり、12種類あるカウントのなかでも3番目に多い。2014年に関しては、全体の359打数のうち37打数は初球を打ったものだった。

 昨季も398打数のうち41打数が初球を打ったもので、約10打数に1打数の割合で初球を打っていたことになる。それが今季は178打数のうち、初球の打ったのは10打数。約17打数に1打数まで減っているというわけだ。

 四球を多く選んでいることもあって、今季の出塁率は.406。262安打を放ち、シーズン安打のメジャー記録を更新した2004年に次ぐ出塁率の高さ(2014年は.414)をマークしている。

 打席内でのアプローチをの変更。それが功を奏しているのだろうが、メジャー16年目にして衰えるどころか全盛期を取り戻すような数字を残しているのは驚異的としか言いようがない。

 これまで数えきれないほどわたしたちを驚かせてきたイチローだが、この分ならばまだまだ楽しませてくれそうだ。

 メジャー通算3000安打の大台に達したあと、次に見ることになる新たなイチローはどんなものだろうか。


文=京都純典(みやこ・すみのり)

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