コラム

【白球つれづれ】高校野球に思う、野球界の常識と時代錯誤

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今年も熱戦が繰り広げられている夏の甲子園(C)KYODO NEWS IMAGES

白球つれづれ~第20回・染み付いた古き常識にメスを~


 高校野球は、やっぱり素晴らしい...。改めてそんな思いを強くした歴史的ゲームが、劇的な決着で幕を下ろした。

 第98回・夏の甲子園大会。14日に行われた2回戦の東邦(愛知)-八戸学院光星(青森)の一戦は、まさに息詰まる死闘だった。

 最大7点差をつけられていた東邦がじわじわと追い上げ、4点差で迎えた最終回。しかも二死からまさかの4連打で10-9のサヨナラ勝ちだ。大会史上最大級の逆転劇は、今後も長く語り継がれていくだろう。


 敗れた光星のエース・桜井一樹の談話が、甲子園に棲む魔物の正体を語っている。

 「球場全体が相手の応援をしている感じで、全員が敵だった。負けて(野球の)怖さを知りました」

 お盆の時期は満員になることも多い甲子園だが、この日は最終・第4試合で横浜(神奈川)-履正社(大阪)という東西の“横綱対決”が早くも実現。早朝からファンの波が押し寄せた。

 その数、47,000人の満員札止め。この熱風が「判官贔屓」と化して光星ナインを襲ったから、起こり得ないようなことが起こったのだ。これも勝負のアヤというものだろう。


大会前に物議を醸したあの事件...


 長い歴史と伝統を誇る全国高校野球選手権大会は、2年後に第100回の大きな節目を迎える。

 それは同時に、時代とともに新たな変革にどう対応していくかの曲がり角に差し掛かっていることも意味している。

 象徴的な「事件」は、今大会直前に起こった。大分代表・大分高校の女子マネージャーである首藤桃奈さんが、甲子園練習にユニフォーム姿で練習の手伝いに参加。すると大会関係者に制止され、ベンチに戻るよう指示された。

 確かに大会規定では女子の参加は認めず、練習やそれに準ずる物もダメとある。しかし、ノッカーである監督へのボール渡しなどは、明らかに日頃から行っていることをうかがわせるスムーズな動きだ。

 百歩譲って本番の試合前はノーとしても、練習段階くらいは認めてもいいのではないか...?

 この問題は後日、日本高野連の技術・振興委員会でも11人の委員にヒアリングという形で取り上げられている。竹中雅彦同連盟事務局長によれば「危険性の観点から大半の委員が練習参加に反対」の一方で、一部委員からは「安全対策をしっかりしたうえで女子参加の道を考えていくのもひとつ」という声が上がったという。


 今後は11月に行われる理事会の議題にも上ると見られる。

 確かに150キロ近い硬球が顔面でも襲えば、体力も経験でも劣る女子には危険という配慮を否定する気はない。だが、競技人口の減少に悩む野球界全体を考えたとき排除の論理だけで片づけていいものだろうか?

 小中のクラブチームなどでは、今や女子選手は当たり前。彼女たちが女子野球の道にすべて進めるかと言えば、地域や経済負担の問題もある。せめて野球が好きだからマネージャーとしてでも寄り添っていたい。こうした「野球党」を少しでも増やしていく方策を考えたとき、顔面を覆う特殊なマスクを用意したっていい。

 もっと根本的なことを言えば、スポーツにはある程度の危険性やリスクはある。そこを理解したうえで挑戦する素晴らしさを追求するには、一体どうすればいいのだろうか。


時代のニーズに合った改革を...


 もうひとつ、高校野球で個人的に気になるのは入場行進のあり方だ。

 今時、両手は肩の高さまで上げて、腿の高さは膝に対して90度などありか?

 毎回、これが出来ずに陳腐な行進をしている選手を見かける。最近は全校がこの形ではないので、一部の指導者らの指示なのだろう。某国の軍隊の行進ではないのだから、節度のある“今風”くらいでいいだろう。

 2020年・東京五輪での野球・ソフトボールの競技復活が決まった。関係者は異口同音に「これを機に野球人気復活の起爆剤に」と語っている。

 元ヤクルトの名手である宮本慎也は「世界的に認知されるなら9イニング制を7回に変えたってやるべき」と、日刊スポーツ紙上で変革の大切さを訴えていた。

 ともすれば、「時代錯誤」と受け取られかねないことが未だに常識として残存している野球界には、時代のニーズに合った改革が急務である。


文=荒川和夫(あらかわかずお)
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