ニュース 2016.08.15. 08:00

【高校野球】夏の甲子園での“大逆転劇”といえば…

無断転載禁止
甲子園球場で幾多の名ドラマを繰り広げられてきた

“魔物”が潜む甲子園...


 「第98回 全国高校野球選手権大会」は大会8日目までが終了。13日の第3試合・東邦-八戸学院光星の一戦では、一時は7点を追う展開となった東邦が試合終盤に驚異的な粘りを見せ、大逆転でのサヨナラ勝ち。ミラクル勝利で3回戦進出を決めた。

 “魔物”が潜むと言われる甲子園……。信じられないような大逆転勝利というのは、これまでにもあった。

 たとえば、2006の準々決勝・智弁和歌山(和歌山)-帝京(東東京)の一戦。この試合のランニングスコアは以下の通り。

【2006年・準々決勝】
○ 智弁和歌山 13x - 12 帝京 ●
帝|000 200 028 |12
智|030 300 205x|13

 ご覧のように、後攻の智弁和歌山が7回までに8-2と6点リード。しかし、諦めない帝京も8回に2点を奪って4点差とすると、9回には中村晃(現ソフトバンク)、杉谷拳士(現日本ハム)のタイムリーなどで一挙8点。試合をひっくり返す。

 ところが、今度は智弁和歌山の方が執念を見せた。2つ四球で得点圏に走者を進めると、橋本良平(元阪神)の3ランで1点差。その後、タイムリーで同点に追いつくと、最後は押し出しの四球で決着。今年の東邦と同じく「5x」を刻んでサヨナラ勝ちを収めた。


優勝チームに“大逆転勝利”あり?


 2007年の夏、今でも語り草となっている佐賀北の“がばい旋風”も、劇的な逆転勝利による優勝があってこそだろう。

 決勝のカードは佐賀北(佐賀)-広陵(広島)。こちらも先にランニングスコアをご覧いただこう。

【2007年・決勝】
○ 佐賀北 5 - 4 広陵 ●
広|020 000 200|4
佐|000 000 05X|5

 この試合は佐賀北が2回に2点を失うと、7回にも追加点を許して0-4。打線も相手エース・野村祐輔(広島)を前に7回まで1安打に封じられるなど、苦しい展開のママ試合は8回を迎える。

 ところがこの8回、佐賀北は一死から連打と死球で満塁のチャンスを作ると、押し出し四球で得点。1点を返すと、なおも満塁のチャンスに副島浩史が逆転のグランドスラム。一振りで試合をひっくり返すと、この1点のリードを守り抜き、見事に頂点を掴んだ。

 
 また、2010年の夏に沖縄の興南が史上6校目となる春夏連覇を達成したが、劇的な逆転勝ちを経て頂点まで登り詰めている。

 その逆転劇というのが、準決勝の報徳学園(兵庫)戦。ランニングスコアは以下の通り。

【2010年・準決勝】
● 報徳学園 5 - 6 興南 ○
興|000 031 200|6
報|140 000 000|5

 先発した島袋洋奨(現ソフトバンク)が立ち上がりを攻められ、2回までに5失点。春夏連覇がかかるチームは、苦しいスタートを強いられる。

 それでも、打線が5回に反撃開始。一気に3点を返すと、6回には島袋が自らタイムリーを放って1点差。すると勢いのついた打線が7回に2点を奪い、逆転に成功した。

 この1点のリードを島袋が守り切り、興南が6-5で勝利。決勝では東海大相模(神奈川)に13-1で圧勝し、史上6校目となる春夏連覇を成し遂げた。

 9回3つめのアウトが記録されるまで、何が起こるかは分からない。これが高校野球の醍醐味でもある。

 今年の夏の甲子園もあと1週間となったが、このあとも球児たちの熱き戦いから目が離せない。
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