鮮烈な印象を残した昨夏の甲子園
ロッテのドラ1ルーキー・平沢大河のエンジンがようやくかかってきた。
8月17日の楽天戦、第3打席で福山博之の甘く入ったフォークをきれいにセンター前へ。24打席目で待望のプロ初ヒットを記録した。
高卒とはいえ、大きな期待を背負ってプロ入りした平沢。まだ昨夏の甲子園での活躍をはっきりと覚えているファンも多いはずだ。
打率こそ.240に終わったものの、初戦の明豊戦でいきなりバックスクリーンに放り込むと、準々決勝の秋田商戦ではのちにロッテで同僚となる成田翔から先制ソロを放つなど、3本塁打をマークした。
東海大相模との決勝で敗れはしたが、平沢自身は小笠原慎之介(現中日)から二塁打を含む2安打を記録。176センチ・76キロと決して大きくない体格ながら、鋭いスイングから強烈な打球を飛ばし、鮮烈な印象を残した。
ドラフトでは、楽天との競合の末にロッテが交渉権を獲得。こうして平沢のプロ人生がはじまった。ロッテの二遊間には、新外国人・ナバーロと主将・鈴木大地がおり、高卒ルーキーがそうそう割って入れる状況ではなかったが、「平沢なら」と期待するファンも多かったこ
プロ初安打から吹っ切れたようにヒットを量産中!
ところが、やはりプロの壁は厚かった。プロ初安打を記録した楽天戦以前の21打席では、実に12三振を記録。プロで花開くのはまだまだ先か……と、ファンも思いはじめたころに初安打が飛び出した。
すると、その後は吹っ切れたようにヒットを量産している。初安打をマークした楽天戦から6試合連続で安打を放ち、8月20日の西武戦からは3試合連続で打点も記録。代打出場した8月25日の日本ハム戦で1打数無安打に終わり、自身7試合連続安打とはならなかったが、“スタメン6試合連続安打”は継続中だ。
その間、8月19日の西武戦では、左腕の菊池雄星からあわや本塁打という右翼フェンス直撃三塁打を放ち、初長打も記録。プロのなかでは小柄だが、頭と体の軸が全くぶれない鋭いスイングはあらためて非凡さを感じさせるに十分なものだった。
パ・リーグでは日本ハムとソフトバンクが熾烈な首位争いを演じている一方、ロッテは上位とも下位とも大きくゲーム差が開き、3位の“一人旅”状態。おまけに、直近3カードで1勝7敗と、ファンにとってはすっきりとしない日々が続いていたことだろう。
そんな中で差し込んだ光明――。ロッテファンの溜飲を下げ、残りのシーズンやCSはもちろん、来季は開幕からエンジン全開で活躍してくれるのではないか。そんな期待も膨らんでくる。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)