コラム

ロイヤルズ、29年ぶり悲願へ 地区3連覇中の王者タイガースへ下剋上なるか

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29年ぶりのプレーオフ進出、そして優勝へ向けて勢いに乗るカンザスシティ・ロイヤルズ [Getty Images]
青木宣親,


 MLBのレギュラーシーズンは残り1か月を切り、優勝争い、プレーオフ争いが正念場を迎えている。中でもア・リーグ中地区の争いが最も熱い。今季、青木宣親が加入し、日本でも名前を聞く機会が増えたカンザスシティ・ロイヤルズ。現在ア・リーグ中地区で2位タイガースに1ゲーム差をつけ首位を走っている。実はロイヤルズが最後にプレーオフに出場したのは世界一に輝いた1985年。MLB30チームで最もプレーオフから遠ざかっているチームということになる。開幕前の前評判は低くはなかったが、9月の時点で強敵タイガースを抑えて首位にいるのはサプライズと言っていい。

ロイヤルズ快進撃の理由とは…


 地区3連覇中のタイガースが苦しんでいる。ロースターの面々を見れば、投手では過去3年のア・リーグ、サイ・ヤング賞投手バーランダー、プライス、シャーザー。打者では2012年ア・リーグ三冠王のカブレラ、今季リーグMVP候補のV.マルチネスなどそうそうたる顔ぶれがそろう。一方のロイヤルズに上で挙げたようなビッグネームはほぼいない。実績だけ見ればタイガースが戦力で上回っているのは明白だ。そして今季の直接対決でもタイガースが9勝4敗で勝ち越している。

 タイガースの今季打撃成績を見ると、得点、チーム打率はメジャー全体で1位、OPSは同2位である。打率.332のV.マルチネスを筆頭にカブレラ、キンスラー、ハンターなど日本でもよく知られている選手らが中核を担う。一方のロイヤルズは規定打席に到達している打者が7人いるが、最高打率はゴードンの.279である。これはタイガースのチーム打率(.276)とほぼ同じ。ロイヤルズ打線は本塁打と四球がともにメジャー最少にもかかわらず、得点はメジャー15位とちょうど真ん中あたりにつけている。これはメジャー最多の盗塁(130)や三振(817)の少なさ(メジャー唯一の800台、カブスとマーリンズはロイヤルズの1.5倍超!)が起因しているとみられる。


リーグ屈指のリリーフ陣 7回までリードしている試合で負けたのは1試合だけ


 では投手力はどうか。名前だけ見ればタイガース先発陣はリーグ屈指のはずだが、先発防御率は3.90でメジャー18位、対するロイヤルズは3.56で9位である。ロイヤルズはエースのシールズをはじめ4人がすでに2ケタ勝利を挙げている。防御率2.42ながら8勝のダフィーは打線の援護さえあればすでに12~13勝していてもおかしくない。先発陣の安定度はロイヤルズにやや軍配が上がる。しかし両者の最大の違いはリリーフ陣にある。

 救援防御率に目を向けると、タイガースがメジャーワースト4位の4.30なのに対して、ロイヤルズは3.44と1点近く差がついている。ロイヤルズのクローザー・ホランドはメジャー最多タイの42セーブを挙げており、セーブ失敗は僅かに2回だけ。防御率も1.60と安定している。タイガースはベテランのネーサンがクローザーを担い、今季29セーブを記録しているが、セーブ失敗が6回、防御率も5.04と安定性に欠ける。さらにセットアッパーを見ると、タイガースのチェンバレンとアルバカーキの防御率はそれぞれ3.42と2.68とまずまずの成績を残しているが、ロイヤルズのデービスとヘレラの防御率はそれぞれ0.73、1.37とタイガースの両セットアッパーを大きく上回る安定感を見せている。こうしてみると両者の一番の違いは救援投手陣といえそうだ。

 それを裏付けるデータとして、7回を終えてリードしている試合の成績がある。ロイヤルズは62勝1敗で、メジャートップの成績を誇っている。メジャー全体の平均が55勝5敗、タイガースは64勝5敗。タイガースの数字が悪いわけではないが、今季この条件で1敗以下はロイヤルズだけ。ロイヤルズのそれが際立っているのがわかる。

 両チームともに残り二十数試合となり、ここからの1試合1試合、1プレー1プレーが重要になってくる。ひとつのエラーやミスがシーズンの流れを変える可能性も十分ある。そしてタイガースとロイヤルズの直接対決もまだ6試合残されており、現時点のゲーム差はないも同然。ロイヤルズの下克上が見られるのか、それとも地力に勝るタイガースが逆転で地区4連覇を果たすのか。約3週間後に答え合わせの時がやってくる。
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