約30年の低迷期 史上2位の不名誉記録更新中
カンザスシティー・ロイヤルズの青木宣親が「初優勝」に向けて正念場を迎えている。
8月30日現在、ロイヤルズは74勝60敗で2位のデトロイト・タイガースに0.5ゲーム差をつけ、アメリカン・リーグ中地区の首位に立っている。
そんなロイヤルズも長い低迷期があった。野球殿堂入りも果たした名選手で、現在は球団の副社長も務めるジョージ・ブレットが活躍した1970年代中盤からの10年間は、ロイヤルズも強豪球団のひとつだった。地区優勝6回、リーグ優勝2回、1985年にはワールドシリーズで優勝を果たしている。しかし、1986年から昨年まで28年連続でプレーオフ進出を逃しており、これはMLBに限らず北米プロスポーツ史上2位の不名誉な記録を更新中なのである。2004年から2006年には3年連続でシーズン100敗を記録し、2008年からは北海道日本ハムで監督経験のあるトレイ・ヒルマンが指揮を執ったが、チーム状態は上向かなかった。
プロ入り後優勝のない青木 今季こそは頂点へ!
昨季の後半戦、ロイヤルズは43勝27敗と勝ち進み、シーズンも10年ぶりに勝ち越した。投手陣を中心とした守りにはメドが立ったが、攻撃陣、特に上位打線には悩まされていた。昨季、1番打者の出塁率が.309。そこでロイヤルズの求めた選手が、昨季までミルウォーキー・ブルワーズに所属しMLB通算の出塁率が.355の青木だったというわけだ。
移籍した今季の青木は、出塁率が.332と昨季までの成績と比べれば物足りないが、1番打者としての出塁率は.333とロイヤルズの弱点を埋める活躍を見せている。8月に入り、打率は.272と好成績ではないものの、出塁率は.352と1番打者としての役割は十分に果たしていると言えるだろう。8月18日(日本時間19日)のツインズ戦から20打席ノーヒットと苦しんだが、27日(同28日)のツインズ戦で8回に勝ち越しタイムリー。終盤戦に向けて調子を取り戻しつつある。
青木は、早稲田大学時代に鳥谷敬(阪神)、田中浩康、武内晋一(ヤクルト)らとともに早稲田大学野球部史上初の4連覇を達成。東京ヤクルトスワローズに入団後、2年目の2005年に首位打者に輝くなど個人タイトルはいくつも獲得した。「侍ジャパン」の一員としてWBC連覇にも貢献したが、長いシーズンを戦っての優勝の経験はない。
今季メジャーリーグでプレーする日本人選手が所属するチームで、地区優勝の可能性があるのはロイヤルズに絞られただけに、青木のバットとともに9月の戦いに注目したい。
(成績はすべて日本時間の8月30日現在)
文=京都純典(みやこ・すみのり)