コラム

和田毅、完全復活へのカギは

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渡米3年目でメジャー初登板を果たし、これまで6試合で2勝1敗の成績を残しているカブス和田毅投手 [Getty Images]
和田毅,


少しずつ持ち味を発揮 被本塁打増は『和田らしさ』の証


 夏の甲子園に2回出場、東京六大学野球では江川卓を超える通算476奪三振、ホークス入団後も1年目の日本シリーズで胴上げ投手になるなど、アマチュア時代から日本を代表するサウスポーとして名を馳せた和田毅(カブス)。2011年オフに海外FA権を行使して渡米。しかしその時は誰も和田のメジャーデビューが2年半後の今年7月になるとは想像していなかった。

 オリオールズとの契約後、1年目の開幕目前に肘を痛め、その後トミー・ジョン手術を受けた。長いリハビリ生活の末、翌13年にケガから復帰したがメジャーには上がれず、今季はカブスの招待選手としての再スタート。しかしマイナーで結果を残し、ようやく念願のメジャーの舞台にはい上がってきた。

 7月の初登板後、今季これまで6試合に先発、2勝1敗、防御率3.15と上出来の成績を残している。しかし9月には25人のロースター枠が40人に拡大され、来季に向けチームが若手投手にチャンスを与えることも考えられる。33歳の和田にとって、これまで同様一試合一試合が勝負となる。

 今季登板した6試合を振り返ってみると、最初の3試合は3.38だった防御率が、最近3試合は2.95とやや良化している。与四球率は3.38から1.97に大きく改善。奪三振率は7.3から8.3、被打率も.254から.221とメジャーの打者に慣れてきたことがうかがえる。和田の特長といえば、球速以上に速く見せるキレのあるストレートと制球力の良さが挙げられる。奪三振率の増加と与四球率の低下はともにいい傾向だといえる。しかし最初の3試合は一本も許していなかった本塁打を最近3試合では4本も献上した。一見不安視したくなるが、もともと球質がそれほど重くないと言われる和田にとってホームランが増えるのは決して悪い話だけではない。それだけテンポ良く、相手打者を恐れず大胆にストライクゾーンに投げられている証拠だからだ。与四球率と奪三振率の改善もそれを証明している。
和田毅,


問われる『思い切り』の良さ メジャーのパワーを恐れない投球がカギに… 


 次に、今季登板した6試合で表面化した和田の今後を占うことになるかもしれないデータを紹介しよう。カウント別の被打率だ。

 ここではあまり細分化せず、ストライク先行時(カウント0-1、0-2、1-2)とボール先行時(1-0、2-0、3-0、2-1、3-1、3-2)のみ抽出した。投手有利のはずの前者では被打率が.319、打者有利といえる後者で.200という数字が残っている(※主な日本人先発投手のデータも文末に記載)。6試合のみのデータなので、今後投球イニングが増えるにしたがって2つの数値は近づき、いずれ逆転するものと思われる。しかし6試合とはいえ、顕著な差が出た被打率.319と.200の意味するものとは何か。考えられるのは、ボール先行時は四球を避けたいという考えから、よりストライクゾーンへ力のある球を投じる意識が強まる。その結果、しっかり腕を振ることができ球威が増す。逆にストライク先行時は際どいコースに投げたいという意識が強まり過ぎ、球威がやや落ちる。ほんの少しの意識の差が2つの被打率の数字をもたらしているのではないだろうか。和田の長所の一つであるキレのあるストレートを生かすためにもカウントは気にせず、どんどんストライクを奪い、時には一発も許す。それが和田の好調時の姿なのかもしれない。そうだとすれば被本塁打の多さも含めた最近3試合の傾向は良い兆候なのだろう。

ケガからの完全復活を懸け、今後も一試合一試合が試練となる。33歳ルーキー和田毅のメジャー挑戦は始まったばかりだ。

※主な日本人先発投手のストライク先行時&ボール先行時被打率(8月14日現在)
田中将大(ヤンキース)….217&.259
黒田博樹(ヤンキース)….173&.328
ダルビッシュ有(レンジャーズ)….164&.294
岩隈久志(マリナーズ)….159&.331
*和田毅(カブス)….319&.200
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