1908年以来の世界一を目指すカブス
名将・ジョー・マドン監督の下、開幕から白星を積み重ねているシカゴ・カブス。現在83勝47敗で貯金は36を数える。さらにメジャーで唯一勝率は6割を超えるなど、ベテランと若手がうまく融合したチームは現時点で最も世界一に近いところに位置していると言っていいだろう。
カブスと言えば1908年を最後にワールドシリーズ制覇がない。107年のブランク……。これは世界一を経験したことのある既存の22球団の中では最も遠ざかっている年数だ。さらに1945年のワールドシリーズのさなかに起こった「ヤギの呪い」はよく知られているが、その年も含めて、カブスは幾度となくワールドシリーズに近づくも、ことごとく“呪い”にはねのけられてきた。今年は、71年ぶりの大舞台にたどり着くだけの戦力はそろっており、ついに“ヤギの呪い”が解けるのかにも注目が集まる。
ブルージェイズ、インディアンスの古豪も世界一を狙う
ブルージェイズは1993年以来、インディアンスは1948年以来の世界一を狙う。ナ・リーグでは古豪ロサンゼルス・ドジャースがサンフランシスコ・ジャイアンツと激しい優勝争いを展開している。ドジャースが最後にワールドシリーズを制覇したのは1988年。その後の27年間で9度プレーオフに出場しているが、いずれもワールドシリーズには到達していない。
ナショナルズは初のワールドシリーズ進出を目指す
ナ・リーグ東地区の首位を走るワシントン・ナショナルズはフランチャイズ史上初のワールドシリーズ進出を狙っている。モントリオール・エクスポズとして球団が誕生したのが1969年。現在の30球団の中でワールドシリーズ未出場はナショナルズとシアトル・マリナーズの2チームのみである。
ただし首都ワシントンDCに本拠地を置いていたチームとしては、ワシントン・セネターズ(現ミネソタ・ツインズ)が1924年に世界一に輝いている。首都ワシントンに92年ぶりの歓喜は訪れるのだろうか。このように今季はしばらく世界一を味わっていないチームが虎視眈々と頂点を狙っている。
一方で各地区の2位以下につける面々はここ数年ワールドシリーズを経験しているチームが多い。ニューヨーク・メッツ、セントルイス・カージナルス、ジャイアンツ、レッドソックス、タイガースの5球団は過去4年以内にワールドシリーズを経験している強豪だ。
公式戦も残り約1か月。10月4日から始まるプレーオフではどういったドラマが待っているのだろうか。そして今年は一体どのチームがチャンピオンリングを手にするのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)