コラム 2016.09.01. 07:00

8月の与四球はわずかに1 田中将大はヤンキースのエースとなれるか

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ヤンキースの田中将大

日本人投手としてMLB1年目から3年連続二ケタ勝利は史上3人目


 ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手は、日本時間20日のロサンゼルス・エンゼルス戦で今季10勝目を挙げた。30日のロイヤルズ戦では勝利投手になれなかったものの、今季の成績は11勝4敗、防御率3.11だ。

 田中はこれで、メジャー移籍後3年連続で二ケタ勝利を飾ったことになる。MLBでの日本人投手3年連続二ケタ勝利は、1995年~1997年、2001年~2003年の野茂英雄、2010年~2014年の黒田博樹(5年連続)、2012年~2014年のダルビッシュ有に次ぎ4人目。MLB1年目からでは、野茂、ダルビッシュに次ぐ3人目となった。田中は、楽天時代から見ると8年連続で2ケタ勝利となる。

 また、投球回が173回となり、MLB3年目で初めて規定投球回(162回)をクリアした。順調にいけば、一流の証とも言われるシーズン200回到達も確実だ。昨年オフに右肘の骨片を取り除く手術を受け健康面で不安があった田中だが、そういった声を一掃した。

 その裏には、田中なりの工夫があった。楽天時代から昨季までは投球の際にプレートの三塁側を踏んでいたが、今季の途中に一塁側に変え、最近では真ん中あたりを踏むなど試行錯誤を繰り返し、MLB仕様にモデルチェンジしている。

 球種や配球にも田中の変化は見られる。スプリット以外にツーシームのキレが増し、打者の左右問わずコントロールできるようになった。左打者の外角にツーシーム、右打者の外角にはスライダーを軸に、高めのフォーシーム(速球)で空振りを奪うことも増えた。ダルビッシュ有(レンジャーズ)や岩隈久志(マリナーズ)のピッチングスタイルに近づいてきたが、MLBで活躍するための手本とも言える投球内容だ。

1イニングあたりの投球数はMLB最少


 今季の成績を見ていくと、5イニング未満で降板した試合は7月11日のクリーブランド・インディアンス戦(4回2/3、7失点)だけというのも凄い。27試合中16試合でクオリティースタート(6イニング以上投げ自責点3以下)を記録している。

 1イニングあたりの球数は14.66で、MLBの規定投球回に達している投手のなかで最少ということも田中が長いイニングを投げられる秘訣だが、球数が少ないというのは余計な四球を与えていないことでもある。

 今季、173回を投げ、田中が与えた四球は28個。与四球率1.46はMLB4位の好成績でもある。8月は39回を投げ与四球はたったの1。7月27日のヒューストン・アストロズ戦の3回から8月25日のシアトル・マリナーズ戦の3回裏まで31回連続無四球と、圧巻の制球力を見せた。

 ヤンキースは現在、68勝63敗でアメリカン・リーグ東地区首位のトロント・ブルージェイズから6.5ゲーム差の4位につけている。ワイルドカード争いでも3.5ゲーム差と厳しい状況が続く。マイナーから若手をあげ、来季を見据えた戦いにもなっているが……王国再建のためにも田中にはエースらしいピッチングが求められる。MLBで勝っていくピッチングを完全に自分のものとした田中が、真のエースになる日を楽しみに待ちたい。

※数字は2016年8月31日終了時点

文=京都純典(みやこ・すみのり)

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