コラム 2016.09.27. 07:15

圧倒的な“本塁打率”で存在感放つ山川穂高

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西武の山川穂高

両リーグを代表するスラッガーをも圧倒する“本塁打率”


 西武・山川穂高が大きく成長した姿を見せつけている。9月20日のオリックス戦の9回、高木伴の甘く入った直球を豪快に振り抜いた打球はあっという間に左中間スタンド上段に着弾。今季3度目の2打席連続アーチとなる特大ホームランとなった。まさに“打った瞬間”という完璧な当たり。これには、チームメートのメヒアや中村剛也も脱帽といった表情を浮かべていた。

 天性のホームランアーティストが覚醒しつつある。昨季の一軍成績はわずか1打席にとどまり、過去2年は不本意な結果に終わった。ところが、3年目の今季は、ここまで48試合に出場して打率.265、14本塁打、32打点と大きく数字を伸ばしている。その風貌や打撃スタイル、フォームなどから「おかわり2世」などとも呼ばれた男が、本家に負けない存在感を放っているのだ。

 驚異的な成績が、1本塁打に必要な打数――いわゆる本塁打率に見て取れる。不動のレギュラーではないために打数は少ないが、山川の9.71という本塁打率は、筒香嘉智(10.70)、山田哲人(12.24)、レアード(14.00)、メヒア(14.43)など、両リーグの本塁打王を争うスラッガーたちをもしのぐ。まさに“当たればホームラン”といった状況だ。


3年連続Bクラスに終わるも明るい材料も多い西武


 ルーキーイヤーの2014年には21本塁打でイースタン・リーグの本塁打王に輝くなど、二軍では活躍できても、常に一軍の壁に阻まれてきたのが昨季までの山川だった。今季も初の開幕一軍、開幕スタメンをつかみとったものの、4試合で10打数無安打と結果を出せず、わずか1週間で出場選手登録を抹消されている。ただ、今季はそのままでは終わらなかった。ファームで打率.333、22本塁打、64打点という圧倒的な数字を残して再び一軍の壁に挑むと、これまでのうっぷんを晴らすかのように本塁打を量産中だ。

 主に一塁手として起用されるためにメヒアとポジションがかぶるのが悩ましいが、チームにとってはうれしい悲鳴といったところ。3年連続のBクラスが確定した西武だが、山川の覚醒に加え、ルーキー・多和田真三郎の台頭、菊池雄星の大きな飛躍、捕手としての森友哉の成長など、来季に向けて明るい材料は多い。かつての憎らしいまでに強い西武の姿を取り戻せるか――来季、山川らの奮起に注目が集まる。

※数字は2016年9月25日終了時点

文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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