コラム 2016.09.13. 10:30

西武のショート問題を解決するスピードスター・呉念庭

中島裕之が移籍してから固定できないショート


 2012年オフに中島裕之(現オリックス)がアメリカへ渡って以降、西武はショートを固定できなかった。2013年から昨年まで、ショートでスタメン出場した選手は以下の通りだ。

<2013年>
鬼崎裕司(72試合)
金子侑司(24試合)
永江恭平(24試合)
浅村栄斗(10試合)
山崎浩司(9試合)
林崎遼(3試合)
渡辺直人(2試合)

<2014年>
渡辺直人(78試合)
永江恭平(27試合)
鬼崎裕司(19試合)
金子侑司(16試合)
山崎浩司(2試合)
林崎遼(2試合)

<2015年>
金子侑司(50試合)
鬼崎裕司(38試合)
外崎修汰(31試合)
渡辺直人(22試合)
永江恭平(2試合)

 出場している選手の名前はほとんど同じながら、最多出場の選手は毎年変わっている。このことからも、西武がショートの人材難に悩まされてきたことがよく分かるだろう。

 今季も、外崎で開幕したが、渡辺、鬼崎と変わり、4月中旬からは金子侑がショートで出場するようになった。しかし、相変わらず送球面で不安があり、5月中旬からは鬼崎がショートに、金子はライトへ回った。その後も木村昇吾、永江と固定できない日が続いた。


出塁能力が高い呉念庭


 今季もこのままショート問題は解決しないままかと思われたが、8月上旬からひとりの選手が台頭してきた。昨年のドラフト7位で第一工業大から入団した呉念庭(ウー・ネンティン)である。

 広角に打ち分ける打撃に定評があった呉だが、プロ入り後1、2年は二軍で力を蓄えると見る向きが多かった。しかし、二軍で打率.311、4本塁打、14盗塁の好成績を残し、8月9日に一軍昇格。その後のほぼ全試合でスタメンショートとして出場している。

 ここまで92打数21安打、打率.228と打撃では一軍の壁にぶつかっているが、四球を14個選んでいて出塁率は.339と比較的高い。二軍では39四球、30三振と四球のほうが多く、ボールの見極めはできている。

 一軍では14四球、17三振と三振のほうが多いものの、フルカウント時の成績を見ると8四球1三振。際どいカウントでボールをしっかり見ることができている。少なくとも振り回すタイプではない。総じて、出塁能力が高い選手と言えるだろう。

 一軍ではまだ1盗塁しか記録していないが、二軍では17回走って14回成功と俊足も武器としている。今季、一気に盗塁数を伸ばした金子侑と俊足の1、2番コンビを組めれば、西武の新たな目玉となるだろう。

 呉が西武のショート問題を解決するかに注目が集まるが、そのためにも残りわずかの試合で少しでも多くの経験を積んでほしい。


文=京都純典(みやこ・すみのり)

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