コラム 2016.10.04. 07:15

“ブンブン丸2世”広岡大志がプロ初打席初本塁打のド派手デビュー

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プロ初打席で本塁打を放ったヤクルトの広岡大志(C)KYODO NEWS IMAGES

山田哲人そっくりのフォームで“番長”を撃破


 ヤクルトのドラフト2位ルーキー・広岡大志がド派手なデビューを飾った。9月29日のDeNA戦、プロ初打席で対決したのは、この日、プロ人生最後のマウンドに上がった三浦大輔だ。

 2回、一死一、三塁のチャンスで訪れた第1打席。19歳のルーキーは42歳の大ベテランにも物怖じすることはなかった。ためらうことなく初球をフルスイング。下半身のバランスを崩す豪快な空振りとなろうとも、その姿勢は変わらない。続く2球目、内角のフォークをまたもやフルスイング。打球は左翼スタンドへと飛び込んだ。

 プロ初打席で初本塁打を放つ鮮烈なデビュー。高卒新人が初打席で本塁打を記録したのは、セ・リーグでは高木守道(中日)以来、56年ぶり2人目という快挙だ。そのスイングは、バットの立て方から大きなフォロースルーまで、まるで山田哲人を思わせるもの。しかも背番号は“ブンブン丸”と親しまれた池山隆寛が入団時に付けていた「36」、ポジションも池山と同じ遊撃手とくれば、ヤクルトファンならいや応なく期待が膨らむというものだ。


課題は多いが若々しい豪快なスタイルこそ魅力


 入団前からその打撃で注目を集めていた。広岡は大阪府大阪市出身。智弁学園高では全国的に知られる強豪のなかにあって1年春からベンチ入り。1年秋にはレギュラーの座をつかみ、2年春のセンバツでは2試合で二塁打1本を含む3安打を記録。1回戦の三重高戦では1学年上の岡本和真(巨人)を押しのけ4番に座っている。3年夏の奈良県大会では優勝した天理高に2回戦で破れたものの、1回戦の高田高戦で3ランを含む3打数3安打と大暴れし、その長打力はしっかりとスカウト陣の目をとらえた。

 もちろん、まだまだ荒削りな面もある。今季、イースタン・リーグでの広岡の成績は、404打数88安打、打率.218、47打点。10本塁打と持ち味の長打力を発揮している反面、141三振を喫し、打数あたりの三振の割合――いわゆる“三振率”は.349にも達する。今季、セ・リーグの規定打席到達者の中で最も高い三振率が梶谷隆幸(DeNA)の.278ということから、広岡の三振がいかに多いかは明白だ。

 たとえブンブン丸の継承者としても、いささか三振が多過ぎる。この日のデビュー戦でも初打席の本塁打を含む2安打を放った一方、2つの空振り三振を記録した。それでも“豪快”なスイングは魅力。たった1試合でいきなりファンの心をつかんだ豪快なスタイルを見失うことなく、大きく成長してほしい。

文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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