肩の手術から約3年ぶりの一軍登板
7月24日の中日戦で先発したヤクルトの由規が、5回1/3を2失点に抑え、2011年9月3日以来1786日ぶりの勝利をあげた。右肩手術のため12年以降は一軍での登板がなく、昨季終了後には育成契約となったが見事復活を果たした。
一足先に館山昌平も勝ち星をあげるなど、ペナントレース終盤に向けチームを勇気づける復活劇が続くが、ヤクルトにはもうひとりケガを乗り越え、一軍に戻ってきた投手がいる。09年のドラフト4位の平井諒だ。
帝京第五高からヤクルトに入団した平井は、プロ3年目の12年に一軍初登板。プロ初セーブ、初勝利も記録するなど実績を積み重ねていった。だが、13年の7月に右肩のクリーニング手術を受けることに。その影響もあり、14年以降は一軍での登板がなく、昨季終了後に育成契約となった。
迎えた今季、二軍で21試合に登板。防御率1.69と抜群の成績を残した平井は、由規より早い6月6日に支配下選手へと再登録され、6月15日のソフトバンク戦で約3年ぶりの一軍登板を果たした。ここまで11試合に登板し、0勝1敗3ホールド、防御率5.56。ここ3試合は失点しているが、リリーフの一角としてチームに貢献している。
復帰後も150キロ前後の速球を連発!
投手にとって肩のケガは致命傷とも言われ、速球派の投手は一度でも肩を故障したら以前のような球速を取り戻せないケースが一般的だ。しかし、平井にはその通説が当てはまらない。復帰後も150キロの速球を投げ、打者を牛耳っている。
昨季、ヤクルトがリーグ優勝した要因のひとつは、秋吉亮、オーランド・ロマン、ローガン・オンドルセク、トニー・バーネットの強力リリーフ陣だった。それが昨季終了後にロマンとバーネットが退団。バーネットに代わりクローザーを任されたオンドルセクも、6月26日の中日戦で味方の失策が絡んで同点に追いつかれ救援失敗。降板後に暴言を吐いたため謹慎処分を受け、そのままの流れで退団となった。外国人選手が多かったとはいえ、1年も経たずに勝利の方程式が崩れてしまったことが、チームの低迷につながっているとみて間違いないだろう。
新クローザーとなった秋吉。そして、今季から加入したジョシュ・ルーキがセットアッパーとして活躍しているが、巻き返しのためには信頼のおけるリリーバーがもうひとりほしいところだ。チーム随一の速球を誇り、スライダーやフォークで三振を奪える平井はまさに適任と言える。
最近はあまり見られなくなった、大きく振りかぶってボールを投げ込む姿は見ていて清々しい。リーグ連覇こそ厳しくなったが、クライマックスシリーズ進出圏内の3位までは3.5ゲーム差とチャンスはまだ残されている。平井の快速球が、ヤクルトを救うことを期待したい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)