CSでもきっちり仕事をした主力4人
10月10日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦でDeNAに屈し、巨人の2016年シーズンが幕を閉じた。レギュラーシーズンでは広島に大差をつけられながらも2位に食い込み、10年連続でAクラスに入り、なんとか面目を保ったものの、近年、問題視され続けている“打撃力不足”がCSでも浮き彫りになる結果となった。
わずか3試合の結果で論じることに問題がないわけではないが、CSでのチーム打撃成績は100打数19安打4本塁打で8得点。打率は2割を切り、.190に終わった。なかでも目立ったのが、主力と“主力以外の野手”の力量の差だ。絶好調だった坂本勇人をはじめ、村田修一、阿部慎之助のベテラン勢、長野久義の4人はきっちりと数字を残している。
【巨人主力4人のCSファーストステージにおける個人成績】
3試 率.500 本2 点2
村田修一
3試 率.455 本1 点1
長野久義
3試 率.273 本0 点2
阿部慎之助
3試 率.250 本1 点3
広島との違いはチームの中心を担う世代
4人を合わせた成績は、46打数17安打4本塁打8打点、打率.370。一方、4人以外の野手の場合、安打は小林誠司、亀井善行が記録したそれぞれ1本のみ。代打出場も含めて11人が打席に立ち、49打数2安打0本塁打0打点、打率.041という結果に終わった。
もちろん、クリーンアップを含む主力と比較すれば差がついて当然だ。とはいえ、あまりにふがいない成績と言える。結果、打線はつながりを欠いて連打はなかなか見られず、3位のDeNAに敗北することとなった。
近年の巨人は、おなじみの顔ぶれ以外はなかなかレギュラーに定着できない状況が続いている。チャンスをもらいながらも、それを生かし切れない。CSにも出場していた橋本到、中井大介、立岡宗一郎ら20代半ばの選手たちだ。
今季、独走Vを果たした広島では、菊池涼介、丸佳浩、田中広輔ら、まさにその世代がチームを牽引している。本来であれば、坂本がそうであるように、彼らこそがチームの中心となるべき年代の選手たちなのだ。そこに、経験豊富なベテランの支えや生きのいい若手の台頭があって、はじめて本当に強いチームになることは改めて言うまでもない。
阿部や村田はすでに30代半ばを過ぎている。いつものメンバーにいつまでも頼り続けることは当然できない。“主力以外の野手”がいかに奮起し、レギュラーとしてチームを引っ張れるか。巨人の行く末がかかっている。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)