トリプルスリー候補性は…
2015年の新語・流行語大賞にも輝いた「トリプルスリー」。昨季はソフトバンクの柳田悠岐とヤクルトの山田哲人が達成。今季も山田がプロ野球史上初めて2度目のトリプルスリーを記録した。
以前に比べ選手のコンディショニングや筋力トレーニングなど「身体のインフラ」が劇的に向上。それが一流打者を超エリート打者へと進化させている。
12球団の打者を見渡すと、2017年にもトリプルスリーを達成できそうな“候補選手”が何人かいる。パ・リーグでは、15年の達成者・柳田が自身2度目の快挙をあっさり成し遂げてもおかしくない実力の持ち主だ。柳田以外だと打者に専念すれば、という条件付きだが日本ハムの大谷翔平にも可能性を感じる。
一方セ・リーグは山田を筆頭に、巨人の坂本勇人、広島の鈴木誠也と丸佳浩、そしてDeNAの梶谷隆幸の5人を候補に挙げたい。いずれの選手も高い身体能力を誇り、選手としてのピークはまだ迎えていない。早ければ来年にも史上初めて同じ年に同じリーグから達成者が出てもおかしくない。
巨人・坂本が筆頭候補か
当然山田が最有力候補ではあるが、ほかの6人の中でも可能性が高そうな2人を取り上げたい。1人目が坂本勇人だ。今季は自身初の首位打者に輝き、本塁打も23本を数えた。しかし盗塁数は13に終わり、トリプルスリーに必要な30の半分にも満たない。それでもプロ入り後の盗塁成功率は高く、その技術は山田や柳田に引けを取らない。
チームがこのオフにクリーンアップを打てる大物外国人を獲得するようなことがあれば、坂本が1番を打つ可能性も出てくる。そうなると必然的に盗塁数は増えるだろう。そして打席数も増えることで2010年から遠ざかっている30本塁打超えも十分あり得るだろう。
広島・鈴木もトリプルスリーの可能性が高い
2人目は日本シリーズにも出場している鈴木誠也だ。今季は打率.335、29本塁打、16盗塁。数字だけ見ると坂本以上に可能性を感じさせてくれる。ただ広島のチーム事情から鈴木は来季も4番~6番あたりが持ち場になるはず。そうなると打席数の面で不利になることは否めない。もし3番を任されるようなことがあれば可能性はより高まりそうだ。
山田哲人が2年連続で達成するなど、トリプルスリーのハードルは以前に比べれば下がったかもしれない。しかしパワーとスピードの両面でファンを魅了できる選手の登場はプロ野球界を活性化してくれるのは間違いない。来季、山田の3年連続達成はあるか。それとも今回候補に挙がらなかった新たなスーパースターの誕生はあるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)