また一人、元NPB助っ人が監督に
来季へ向けて動き始めたアメリカ・メジャーリーグ。現地時間4日(日本時間5日)には、ダイヤモンドバックスがトーリ・ロブロ氏の監督就任を発表した。
ロブロ氏といえば、2000年に日本のヤクルトでもプレー。その時は29試合しか出場できなかったため、覚えているという人は少ないかもしれない。
選手としてはインパクトを残すことができなかったが、アメリカ帰国後は指導者としてキャリアを積み、レッドソックスのコーチを務めた2015年には、シーズン途中から約1カ月半に渡って監督代行も経験している。
ロブロ氏のように助っ人選手としてNPBでプレーをし、のちにメジャーで監督になった人物というのは意外と多い。
元巨人のデービー・ジョンソンや、当時「ワニを食べる男」としても話題になった元ヤクルトのラリー・パリッシュ、最近では現在のパドレスの指揮官アンディ・グリーンもその一人だ。
元日本人メジャーリーガーの監督就任は...
一方で、メジャーリーグを経験した日本人がプロ野球12球団の監督に就任したケースは、これまでに一度もない。
1995年、あの“野茂英雄のメジャー挑戦”から21年が経った。その後、毎年のように日本人選手がアメリカへと渡り、メジャーリーグの舞台で活躍してきたにもかかわらず、その中からプロ野球の監督が生まれていないのは不思議の一言である。
つい先日、オリックスの長谷川滋利シニアアドバイザーが自身の講演会にて「日本ハムから監督就任のオファーがあった」と発言したことが話題になったが、日本ハムはこれを完全否定。オリックスが長谷川氏の発言について謝罪するという“騒動”に発展した。
日米で活躍し、将来のオリックスの監督候補ともいわれていた人物だけに、今回の一件は決してプラスにはならないだろう。
“第1号”はいつ、誰が...
さて、元日本人メジャーリーガーで現在プロ野球監督に最も近い人物といえば...オリックスの田口壮二軍監督だろう。
現役時代はオリックスで故仰木彬監督、アメリカ時代は名将トニー・ラルーサ監督の下でプレーした。特にセントルイス・カージナルス時代はラルーサ監督から帝王学をたたき込まれたとも言われており、その経験が日本でどのように生かされるのか、いまから楽しみでもある。
ほかにも、現役コーチで元メジャーリーガーというと、日本ハムの吉井理人一軍投手コーチや、ヤクルトの高津臣吾一軍投手コーチなどがいる。日本の“野球”と本場アメリカの“ベースボール”、それぞれ経験したことはコーチ業、監督業で必ず生きるはずだ。
遅かれ早かれ、メジャーを経験した日本人監督は生まれるだろう。気になるのは誰が“第1号”の称号を手に入れるのか。そして、監督として成功を収めることはできるのか...。
いつか来る「本場のベースボールを身をもって知る日本人監督の誕生」。今からその時を楽しみに待ちたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)