コラム

チーム状況に振り回された上原と田澤 数字が示す本当の価値

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昨年の世界一から一転、今季は苦しいシーズンを送っているレッドソックスの田沢純一投手(左)と上原浩治投手(右) [Getty Images]

メジャーでもっともセーブがつく状況で投げられなかった守護神・上原


 昨年、ワールドシリーズを制したボストン・レッドソックス。上原浩治と田澤純一が、リリーフで大いに貢献したことも記憶に新しい。上原は日本人歴代最長の27試合連続無失点、37人連続アウトの球団記録を樹立するなど圧巻のピッチングを見せ、日本人として初めてワールドシリーズの胴上げ投手にもなった。

 そんな歓喜から1年。昨年の今頃は連日ニュースで話題になった上原と田澤だが、今年はあまり伝わってこない。ただそれは、2人の調子が悪いわけではない。レッドソックスのチーム状態が最悪なのだ。日本時間9月15日現在、68勝84敗でアメリカン・リーグ東地区最下位。首位のオリオールズに23.5ゲーム差もつけられている。

 チームの負けが込むということは、リードした展開で試合終盤を迎える回数も少なくなる。クローザーの上原は62試合に登板しているが、そのうちセーブがつく状況での登板は31試合しかない。セーブがつかない状況で31試合登板しているのだが、25セーブ以上あげている投手の中では、メランコン(パイレーツ)の33試合に次ぐ多さだ。メランコンはセットアッパーとして投げることもあり、上原は今年のメジャーリーグで「セーブがつかない状況で最も投げているクローザー」とも言える。

 上原の6勝5敗26セーブ、防御率2.60という数字は、昨年の4勝1敗21セーブ、防御率1.09と比べると物足りない。しかし、1イニングあたりに許した走者の数を表すWHIPは0.93。25セーブ以上あげている19人の中で5番目の成績だ。クローザーとして充分な成績を残していると言えるだろう。チェリントンGMも、今季終了後にFAとなる上原を「間違いなく、来季も残しておきたい選手」と評価し、再契約に意欲を示している。数試合は中継ぎとして調整することになりそうだが、上原への信頼は揺るがない。

2年連続70試合以上登板へ 被本塁打率が下がった田澤


 昨年、71試合に登板した田澤は、今年もここまで68試合に登板し3勝3敗16ホールド、防御率2.97。目立つ活躍こそないが、奪三振率は9.20と三振が取れるリリーフとして申し分ない成績を残している。昨年は68回1/3を投げ9本の本塁打を打たれたが、今年は60回2/3で5本塁打と約半分に減った。要因として考えられるのは、ゴロを打たせる能力が戻ってきたことだ。12年、田澤のGO/AO(ゴロアウトとフライアウトの割合。1.00を超えればゴロアウトが多い)は1.24とゴロを打たせる能力が高かったが、昨年は0.70とフライを打たれることが多くなった。それが今年は0.89と戻りつつある。2年連続で70試合前後の登板からくる疲労は心配だが、今のピッチングを継続できれば来年も結果はついてくるだろう。

 上原、田澤ともに確固たる地位を確立したことは疑いようがない。来シーズンは、再び“強いレッドソックス”で投げる2人の雄姿が見たいと願うばかりだ。
(記録はすべて日本時間9月15日現在)

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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