黒田が自身の記録を更新する5年連続2ケタ勝利 日本人投手、合計勝利数の記録更新なるか
ヤンキースの黒田博樹が、9月3日(日本時間4日)のレッドソックス戦に先発し、今季最多タイの8奪三振のピッチングで10勝目をあげた。5年連続2ケタ勝利となり、自身が持つ日本人投手の連続2ケタ勝利の最長記録を更新したことになる。
これまで、日本人投手の2ケタ勝利は1999年、2002年、2013年の3人が最多だった。
1999年は吉井理人(メッツ)が12勝、野茂英雄(ブルワーズ)が12勝、伊良部秀輝(ヤンキース)が11勝。2002年は野茂英雄(ドジャース)が16勝、石井一久(ドジャース)が14勝、大家友和(エクスポズ)が13勝。2013年は岩隈久志(マリナーズ)が14勝、ダルビッシュ有(レンジャーズ)が13勝、黒田博樹(ヤンキース)が11勝。
今季は黒田のほかに、岩隈久志(マリナーズ)が13勝、田中将大(ヤンキース)が12勝、ダルビッシュ有(レンジャーズ)が10勝。史上最多となる4人が2ケタ勝利をあげている。また、同一球団の日本人10勝コンビは2002年ドジャースの野茂と石井以来、田中と黒田が2度目のことだ。
2ケタ勝利をあげた4人以外の日本人投手の勝利数と合わせると現在のところ58勝。2002年の62勝に次ぐ多さで、今季の残り試合で更新する可能性も十分だ。
抜群の制球力でメジャーを翻ろう 岩隈はメジャー4人目の記録なるか
日本人投手の特長としてよく注目されるのが制球力の良さ。黒田が3日の試合で全95球中73球がストライクと圧巻のピッチングを見せたが、2ケタ勝利をあげている4人の与四球率(9イニングあたりに与える四球数)も、ダルビッシュの3.06が少し多いぐらいで、黒田が1.81、田中が1.32と少ない。中でも驚異的なのが岩隈で、フィル・ヒューズ(ツインズ)と並びメジャートップタイの0.75を記録している。
岩隈の制球力は日本時代から定評があり、日本通算の与四球率は2.00。シーズン21勝を記録した2008年は、201イニングあまりを投げ36四球しか与えなかった。メジャー移籍後も、2012年が43与四球、2013年が42与四球と少なかったが、今季は一層磨きがかかったようだ。
岩隈が、今季ここまで与えた四球は13個で、ちょうど勝利数と同じ数。過去にシーズンの勝利数が与四球を上回った投手は、長いメジャーの歴史の中でもマシューソン、サリー、セイバーハーゲンの3人しかいない。このうちマシューソンとサリーは1900~10年代に活躍した投手だ。もし、岩隈が勝利数より少ない与四球数でシーズンを終えれば、歴史的な快記録となる。
抜群の制球力でメジャーリーガーを翻ろうする日本人投手。「日本人は制球力がある」といったイメージが、より一層強くなっていくことだろう。
(記録はすべて日本時間の9月3日現在)
※岩隈は現地時間5日の登板で14勝目を記録、1四球を与えて今季14四球となった。
文=京都純典(みやこ・すみのり)