コラム 2016.11.23. 18:00

データで振り返る!メジャー日本人選手の2016年 ~青木宣親 編~

無断転載禁止
序盤に苦しむも、夏場以降で巻き返した青木

青木宣親の2016年


 ヤクルト時代に3度の首位打者を獲得した安打製造機が、大きな期待を背負ってメジャーに挑戦したのは2012年のこと。

 青木宣親は、メジャー6年目のシーズンを渡米後5球団目のアストロズで迎えることになった。


 今季はマリナーズで不動の1番打者として期待されたが、夏場にマイナー落ちを経験するなど苦しい1年に。前年に頭部に受けた死球が影響したのか、春先から打率は上がらず7月末の時点で.247。自己ワーストのシーズンになるかと思われた。

 しかし、8月に入って調子を取り戻すと、閉幕までの2か月間で打率.355の大当たり。打率、出塁率を例年の水準にまで押し上げ、シーズンを終えた。


期待される出塁能力


 35歳で迎える来季は、若手中心のチームでの戦い。ベテランとして存在感を示せるだろうか。

 首脳陣が青木に期待するのは、その出塁能力と三振の少なさだろう。今季のアストロズ打線はメジャー全体で4番目に多い1452三振を記録。さらに左翼手と中堅手の出塁率は、それぞれのポジションでメジャーワースト3位(.283)とワースト1位(.270)だった。

 その点、青木は毎年.350前後の安定した出塁率を残しており、課題に挙がっている2つのポジションを守ることができる。チームにいい効果をもたらすだろう。

 今季は8月に入ってようやく火が付いたが、やはり新天地ではシーズンの早い時期から結果を出していきたいところ。カギとなるのは「内野フライをいかに減らすことができるか」だ。

 三振の次にアウトになる確率が高いといわれている内野フライ。今季の内野フライ率(全体のフライ数に対する内野フライの数)は12.3%で、これは2015年までの7.3%を大きく上回る。

 また、低迷した7月までと8月以降を比較すると、それぞれ17.1%と7.5%。8月以降は内野フライを例年の水準にまで減らし、その結果打率を急上昇させることにつながったのだ。

 加えて打撃以外の面でも課題は多い。今季の盗塁数は自己最少の7個に終わり、失敗は9個に上った。守備面でも、過去2年間の失策数は僅かに1つと記録上は安定した守備を見せているが、守備範囲の狭さと肩の弱さがやり玉に挙げられることも少なくない。


ポジションをつかみ取れ!


 2016年はマリナーズ不動の1番打者として開幕を迎えたが、アストロズではスタメンが約束されているわけではない。

 青木の獲得から2週間後、チームは同じ外野手でメジャー通算96本塁打のジョシュ・レディックを獲得した。青木はまずチーム内の競争に勝つことからはじめないといけない。

 それでも、若い選手が多いアストロズにとって、ロイヤルズ時代の2014年にワールドシリーズを経験しているベテランの存在は極めて貴重。青木にはその経験をチームに伝える役割も期待されている。


▼ 青木宣親

生年月日:1982年1月5日(34歳)
身長/体重:175センチ/80キロ
投打:右投左打
ポジション:外野手
経歴:日向高-早稲田大-ヤクルト(03年D4)-ブリュワーズ-ロイヤルズ-ジャイアンツ-マリナーズ-アストロズ
[今季成績] 118試 率.283(417-118) 本4 点28
[通算成績] 649試合 率.286(2380-681) 本28 点184



文=八木遊(やぎ・ゆう)

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