コラム

真のクラッチヒッターは誰だ!? 2016年の“満塁男”は…

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DeNAの主砲・筒香嘉智(C)KYODO NEWS IMAGES

とにかくチャンスに強かった筒香


 このオフ、驚きを与えた契約更改といえば、ハマの4番・筒香嘉智だろう。

 推定年俸は1億円から3倍の3億円へと大幅アップ。驚きもありながら、今季の活躍を振り返ればそれも納得の金額だった。

 2014年に22本塁打を放って頭角を現すと、翌年からは4番に定着。今季は昨季の24本塁打を大きく上回る44本塁打を放ち、大台超えの110打点をマーク。本塁打王と打点王のタイトルを獲得したほか、塁打数、長打率もリーグトップと、球界を代表する長距離打者らしい堂々たる成績を残した。

 しかも、今季の筒香はとにかくチャンスに強い。ゲーム終盤の勝負を分ける場面で何度も試合を決めてきた。

 得点圏打率.393は12球団トップ。“1本欲しいところ”でしっかり打てる、4番としてこれ以上ない頼もしさを感じさせ、それも年俸アップを大きく後押ししたに違いない。

 では、究極の“1本欲しいところ”とはどんな場面だろうか。さまざまなシチュエーションが想定できるが、打者も投手もそれぞれに大きなプレッシャーを感じる「満塁」というのはそのひとつだろう。

 以下は今季規定打席到達者の「満塁時打率」のリーグ別ランキング。いわば、“真のクラッチヒッター”ランキングとも言えよう。通常の打率、打率順位と併せて紹介する。


▼ 満塁時の打率

<セ・リーグ>
1位 .714 平田良介(中) 7打数5安打 本0 点15 打率.248(25位)
2位 .600 筒香嘉智(De) 5打数3安打 本1 点10 打率.322(3位)
3位 .571 菊池涼介(広) 14打数8安打 本0 点15 打率.315(4位)
3位 .571 坂本勇人(巨) 7打数4安打 本0 点7 打率.344(1位)
5位 .545 桑原将志(De) 11打数6安打 本1 点15 打率.284(14位)
6位 .500 山田哲人(ヤ) 8打数4安打 本0 点8 打率.304(6位)
6位 .500 倉本寿彦(De) 8打数4安打 本0 点8 打率.294(11位)
8位 .438 新井貴浩(広) 16打数7安打 本1 点21 打率.300(9位)
9位 .412 鈴木誠也(広) 17打数7安打 本1 点21 打率.335(2位)
10位 .400 川端慎吾(ヤ) 15打数6安打 本0 点12 打率.302(8位)
10位 .400 丸 佳浩(広) 10打数4安打 本0 点15 打率.291(13位)
10位 .400 高山 俊(神) 10打数4安打 本1 点11 打率.275(16位)

<パ・リーグ>
1位 .467 藤田一也(楽) 15打数7安打 本0 点14 打率.265(20位)
2位 .438 銀 次 (楽) 16打数7安打 本0 点16 打率.274(15位)
3位 .429 田中賢介(日) 14打数6安打 本0 点13 打率.272(17位)
3位 .429 柳田悠岐(ソ) 7打数3安打 本0 点10 打率.306(5位)
3位 .429 メヒア (西) 7打数3安打 本2 点15 打率.252(24位)
6位 .417 鈴木大地(ロ) 24打数10安打 本0 点22 打率.285(10位)
7位 .400 糸井嘉男(オ) 15打数6安打 本0 点9 打率.306(4位)
8位 .333 松田宣浩(ソ) 15打数5安打 本0 点10 打率.259(23位)
8位 .333 デスパイネ(ロ) 9打数3安打 本0 点7 打率.280(12位)
8位 .333 安達了一(オ) 6打数2安打 本0 点7 打率.273(16位)


満塁時の打撃成績はセがパを圧倒


 筒香は打数こそ少ないものの、満塁という重圧がかかる場面でも強さを発揮。満塁時打率は.600で、トップの平田良介(中日/.714)に次ぐ2位につける。

 筒香のほかにも、セ・リーグは打率ランキングの上位陣が満塁でもきっちりと結果を残しており、打撃十傑に入った選手のなかで満塁時打率ベストテンから漏れたのは、福留孝介(阪神/.250)と坂口智隆(ヤクルト/.250)、そして村田修一(巨人/.133)という3人のみである。

 一方で坂本勇人(巨人)、菊池涼介(広島)、山田哲人(ヤクルト)といったところはさすがの一言。また、広島からは菊池のほかにも新井貴浩や鈴木誠也、丸佳浩の4人がランクイン。広島の今季の強さを象徴している。

 パ・リーグは対照的に、打率ベストテンの選手は柳田悠岐(ソフトバンク)、鈴木大地(ロッテ)、糸井嘉男(オリックス)の3人のみ。それ以外は満塁時の打率ではベストテン圏外となっている。


勝負を動かす一打を


 満塁という限定された場面の数字ということで、本来の順位から変動があるのも当然。むしろ、セ・リーグが“異常”だと言えるのかもしれない。

 しかも、セ・リーグは7人が5割を超え、パ・リーグトップの藤田一也(楽天/.476)を上回っている。規定打席到達者全員を合わせた数字でも、セ・リーグが.359なのに対してパ・リーグは.291と大きく差が開いている。

 日本シリーズでは4年連続で日本一を逃しているセ・リーグであるが、満塁時打率ではパ・リーグを圧倒した。

 パ・リーグは、藤田と銀次の楽天勢がワンツーフィニッシュ。特に藤田は昨季も10打数6安打の打率.600をマークし、2本塁打で18打点と高い数字を残しており、満塁での強さは本物といえる。

 そして、12球団の「満塁時打点王」に輝いたのは、22打点を挙げたロッテの鈴木大地。今季は打率が.285、得点圏打率も.273という鈴木だが、満塁では打率.417と無類の勝負強さを発揮した。

 打順の巡りによるものか、満塁での打数が多かったということはあれど、その場面できっちりと結果を残したのは見事。ちょっと“意外”な満塁男ぶりを披露している。


 満塁という最大のチャンスは、打てばチームに得点をもたらすだけでなく、相手に与えるダメージも大きい。勝利を大きく引き寄せる一打となる。

 各チームの中軸打者には、やはりこのランキングに名を連ねてほしいものだ。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)
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