コラム

田中、則本、AJ、マギー…「日本一に輝いた2013年の楽天イーグルス」は今

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日本シリーズを制し、抱き合う田中(右から2人目)と嶋のバッテリーに駆け寄る楽天ナイン=Kスタ宮城(C)KYODO NEWS IMAGES

楽天V戦士のその後…


 パ・リーグはこの10年間、日本ハムとソフトバンクの2強時代だ。直近10シーズンのチーム別優勝回数を見てみると日本ハムとソフトバンクが4度ずつで並んでいるが、パ・リーグでは94年の西武を最後に3連覇を達成したチームはない。

 そんな“FH2強時代”に一矢報いたのが、08年の西武と13年の楽天である。記憶に新しい楽天初優勝時の監督は闘将・星野仙一。絶対的エース・田中将大が獅子奮迅の活躍を見せ、日本シリーズでは原巨人との死闘を制した。

 たかが3年、されど3年...。今回は東北を盛り上げた「2013年・楽天イーグルス」の中心選手たちのその後を追ってみよう。



▼ 田中将大(現ニョーヨーク・ヤンキース/当時25歳)
13年 28試 24勝0敗 1S 防1.27
16年 31試 14勝4敗 防3.07(MLB成績)

 恐らく、今後半永久的に破られることない「24勝0敗」の金字塔を打ち立てた絶対的エース。当時プロ7年目の25歳と肉体的にはピークに達しつつあった田中は、5・6・7月にリーグ初の3カ月連続月間MVP受賞と序盤から飛ばしまくり、前半戦は13勝0敗。

 後半戦も11勝0敗と勢いは衰えず、シーズン24連勝を記録。最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得。前人未到の5カ月連続の月間MVP受賞でシーズンを終え、リーグ優勝決定試合、CSファイナルステージ第4戦、日本シリーズ第7戦のすべてでリリーフ登板して胴上げ投手に。

 当時は酷使と物議を醸す起用法だったが、日本球界にやり残しは何もないという圧巻の活躍で、オフにはポスティング制度でのメジャー移籍を表明。ニューヨーク・ヤンキースと総額1億5500万ドルの7年契約を交わした。日本のエースから、ヤンキースのエースへ。16年までのMLB3シーズンで3年連続二桁勝利を含む通算39勝16敗と7割を超える勝率を誇り、メジャーでも「負けない投手」ぶりは健在だ。


▼ アンドリュー・ジョーンズ(2016年3月に引退表明/当時36歳)
13年 143試 率.243 26本 94点 4盗 OPS.845
16年 出場なし

 メジャー通算434本塁打のレジェンドがまさかの来日。打率こそ2割台中盤だったものの、4番打者として26本塁打、94打点を記録。さらにリーグ最多の120四死球を選び、153安打を放った銀次とともにチャンスメイクにも貢献。「3番銀次、4番AJ、5番マギー」のクリーンナップは打線の中心として機能した。

 星野監督との関係は、ベテランメジャーリーガー来日の様子を描いた名作映画『ミスター・ベースボール』の主人公ジャック・エリオットと内山監督を彷彿とさせると一部で話題に。AJは翌14年も楽天で過ごし、契約満了でチームを去った。その後、MLBやNPBでプレーすることはなかったが、今秋の侍ジャパン強化試合ではオランダ代表ベンチコーチとして来日している。


▼ ケーシー・マギー(現読売ジャイアンツ在籍/当時31歳)
13年 144試 率.292 28本 93点 2盗 OPS.891
16年 30試 率.228 0本 1点 OPS.499(MLB成績)

 巨人との激しい争奪戦を制して獲得した大砲。星野監督にとっては、前年のスコット・マシソン争奪戦で宿敵巨人に敗れていただけに会心の補強となった。

 マギーはオープン戦は不調も、惚れた選手はとことん使う星野采配にも助けられ、シーズンフル出場を果たし三塁手ベストナインに輝く活躍で日本一に貢献。

 翌14年にはマイアミ・マーリンズと契約を交わし、160試合、打率.287、4本、76打点、177安打を放つ活躍でカムバック賞を受賞。その後、アメリカ球界で移籍を繰り返すが、今オフには13年日本シリーズを戦った因縁の巨人と入団合意。来季4年ぶりの日本球界復帰となる。


▼ 則本昂大 (現楽天在籍/当時23歳)
13年 27試 15勝 8敗 防3.34
16年 28試 11勝11敗 防2.91

 ドラフト2位右腕は、WBCに出場した田中の代わりにルーキーながらも開幕投手を務めた。ペナントで田中に次ぐローテの柱として15勝を挙げると、日本シリーズ第1戦にも先発登板。新人王に輝き、岩隈久志、田中将大と続く「楽天エース」の座を継承してみせた。背番号14の剛腕は田中、AJ、マギーらがチームを去ったあとも不動のエースとして君臨。

 プロ入り以来4年連続二桁勝利を記録し、2年目から毎年200イニング近く投げ、今季も216三振を奪い、90〜93年の野茂英雄以来、3年連続奪三振王を獲得した。来春のWBCではクローザー起用も検討されている。


14年以降はドラフトで有望株を獲得


 そして、現在……。楽天日本一の翌年に入団した松井裕樹は2年連続30セーブと球界屈指のクローザーへと成長し、茂木栄五郎、オコエ瑠偉といった有望若手野手も出現。今オフは元西武のエース・岸孝之をFA獲得、ドラフトでは則本の後継者を期待される152キロ右腕・藤平尚真(横浜高)を1位指名した。

 たかが3年、されど3年...。楽天は梨田監督のもと、あの栄光の「2013年の楽天イーグルス」とはまったく別のチームへと生まれ変わろうとしている。


文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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