松坂大輔、斉藤和巳、ダルビッシュ有、田中将大... 2000年代だけで見てもこれだけ記録にも記憶にも残るエースが存在していたパ・リーグでは、なかなか陽の目を見ないピッチャーだった金子千尋。2008年から4年連続2ケタ勝利を挙げるなど、実力は折り紙付き。しかし、度重なるケガにより、リーグを代表するエースとして見られることは少なかった。それでも、昨シーズンは200個の三振を奪い、最多奪三振のタイトルを獲得。投手タイトルを総ナメにしていた田中将大の投手四冠を阻んでみせた。
あれからわずか一年、今シーズンは一転して投手四冠に手が届くところまで来ている。各チームのエースが相次いでケガや不調に悩まされるという奇妙なシーズンにおいて金子も例外ではなく、詳細不明ながら1度登録抹消を経験するなど、完璧なシーズンを送っているとは言い難い状況だ。
それでもここまでリーグ単独トップの15勝を挙げ、また、9月に入り負けられない試合が続く中、ことごとくチームを勝利に導く投球を見せた。連続サヨナラ負けという嫌な流れを完封で断ち切った9月10日の楽天戦、首位攻防初戦を落とした崖っぷちのチームを踏みとどまらせた9月17日のソフトバンク戦、そして昨日24日の西武戦と、チームが敗れた翌日の試合で真価を発揮し、見事なまでにエースとしての役目を果たした。
15勝、防御率1.91、奪三振194はリーグトップの数字である。最後に現在.750で2位につける勝率でもトップに立ってシーズンを終えると、2006年の斉藤和巳以来史上12人目となる投手四冠(最多勝、最優秀防御率、最優秀勝率、最多奪三振)に輝く。これまで沢村栄治やスタルヒンといったもはや伝説上の人物と言っても過言ではない、そうそうたるメンバーだけが手にした栄誉だ。
しかも過去11人の達成者の年齢を見てみると、全員が20代での達成であった。つまり、今年11月に31歳を迎える金子が達成すれば史上最年長、そして初めての30代での投手四冠達成者となる。
だがここに来て金子の前に大きく立ちはだかる投手が現れた。西武のエース・岸孝之である。
岸は23日の試合でオリックス打線を5安打完封。8月3日楽天戦から自身4連勝で今シーズンの13勝目(4敗)を挙げ、最高勝率タイトルの条件となる13勝以上をクリア。勝率は.765となった。もし金子が次回登板で勝利を收め、16勝5敗としても勝率は.762となり、わずかに岸に届かない。自力で岸を越えるためには、チームの残り9試合で2勝が必要となるのだ。
タイトルを狙い中5日で登板していくと、今シーズン5戦5勝と大の得意にしている楽天戦2試合に登板ができる。しかし、10月2日にはこのままでいくと間違いなく大一番となるソフトバンクとの直接対決がある。当然、エース金子で勝負したいところだが、そうなると、残り試合で2試合の先発登板というのは厳しくなってしまう。
チームの逆転優勝と個人の偉業を背負って戦うオリックスのエースが、どのような成績でシーズンを終えるのか。パ・リーグを最後の最後まで盛り上げるオリックスと金子千尋から目が離せない。
1937春 沢村栄治(巨人)
防御率0.81 24勝4敗 勝率.857 奪三振196 <20歳>
1938秋 スタルヒン(巨人)
防御率1.05 19勝2敗 勝率.905 奪三振146 <22歳>
1943 中上(藤本)英雄(巨人)
防御率0.73 34勝11敗 勝率.756 奪三振253 <25歳>
1954 杉下茂(中日)
防御率1.39 32勝12敗 勝率.727 奪三振273 <29歳>
1959 杉浦忠(南海)
防御率1.40 38勝4敗 勝率.905 奪三振336 <25歳>
1961 稲尾和久(西鉄)
防御率1.69 42勝14敗 勝率.750 奪三振353 <24歳>
1980 木田勇(日本ハム)
防御率2.28 22勝8敗 勝率.733 奪三振225 <26歳>
1981 江川卓(巨人)
防御率2.29 20勝6敗 勝率.769 奪三振221 <26歳>
1990 野茂英雄(近鉄)
防御率2.91 18勝8敗 勝率.692 奪三振287 <22歳>
1999 上原浩治(巨人)
防御率2.09 20勝4敗 勝率.833 奪三振179 <24歳>
2006 斉藤和巳(ソフトバンク)
防御率1.75 18勝5敗 勝率.783 奪三振205 <29歳>
☆金子千尋(オリックス)
防御率1.91 15勝5敗 勝率.750 奪三振194 <31歳> ※成績は9月25日現在
あれからわずか一年、今シーズンは一転して投手四冠に手が届くところまで来ている。各チームのエースが相次いでケガや不調に悩まされるという奇妙なシーズンにおいて金子も例外ではなく、詳細不明ながら1度登録抹消を経験するなど、完璧なシーズンを送っているとは言い難い状況だ。
それでもここまでリーグ単独トップの15勝を挙げ、また、9月に入り負けられない試合が続く中、ことごとくチームを勝利に導く投球を見せた。連続サヨナラ負けという嫌な流れを完封で断ち切った9月10日の楽天戦、首位攻防初戦を落とした崖っぷちのチームを踏みとどまらせた9月17日のソフトバンク戦、そして昨日24日の西武戦と、チームが敗れた翌日の試合で真価を発揮し、見事なまでにエースとしての役目を果たした。
15勝、防御率1.91、奪三振194はリーグトップの数字である。最後に現在.750で2位につける勝率でもトップに立ってシーズンを終えると、2006年の斉藤和巳以来史上12人目となる投手四冠(最多勝、最優秀防御率、最優秀勝率、最多奪三振)に輝く。これまで沢村栄治やスタルヒンといったもはや伝説上の人物と言っても過言ではない、そうそうたるメンバーだけが手にした栄誉だ。
しかも過去11人の達成者の年齢を見てみると、全員が20代での達成であった。つまり、今年11月に31歳を迎える金子が達成すれば史上最年長、そして初めての30代での投手四冠達成者となる。
だがここに来て金子の前に大きく立ちはだかる投手が現れた。西武のエース・岸孝之である。
岸は23日の試合でオリックス打線を5安打完封。8月3日楽天戦から自身4連勝で今シーズンの13勝目(4敗)を挙げ、最高勝率タイトルの条件となる13勝以上をクリア。勝率は.765となった。もし金子が次回登板で勝利を收め、16勝5敗としても勝率は.762となり、わずかに岸に届かない。自力で岸を越えるためには、チームの残り9試合で2勝が必要となるのだ。
タイトルを狙い中5日で登板していくと、今シーズン5戦5勝と大の得意にしている楽天戦2試合に登板ができる。しかし、10月2日にはこのままでいくと間違いなく大一番となるソフトバンクとの直接対決がある。当然、エース金子で勝負したいところだが、そうなると、残り試合で2試合の先発登板というのは厳しくなってしまう。
チームの逆転優勝と個人の偉業を背負って戦うオリックスのエースが、どのような成績でシーズンを終えるのか。パ・リーグを最後の最後まで盛り上げるオリックスと金子千尋から目が離せない。
過去の投手四冠達成者(年齢は満年齢)
1937春 沢村栄治(巨人)
防御率0.81 24勝4敗 勝率.857 奪三振196 <20歳>
1938秋 スタルヒン(巨人)
防御率1.05 19勝2敗 勝率.905 奪三振146 <22歳>
1943 中上(藤本)英雄(巨人)
防御率0.73 34勝11敗 勝率.756 奪三振253 <25歳>
1954 杉下茂(中日)
防御率1.39 32勝12敗 勝率.727 奪三振273 <29歳>
1959 杉浦忠(南海)
防御率1.40 38勝4敗 勝率.905 奪三振336 <25歳>
1961 稲尾和久(西鉄)
防御率1.69 42勝14敗 勝率.750 奪三振353 <24歳>
1980 木田勇(日本ハム)
防御率2.28 22勝8敗 勝率.733 奪三振225 <26歳>
1981 江川卓(巨人)
防御率2.29 20勝6敗 勝率.769 奪三振221 <26歳>
1990 野茂英雄(近鉄)
防御率2.91 18勝8敗 勝率.692 奪三振287 <22歳>
1999 上原浩治(巨人)
防御率2.09 20勝4敗 勝率.833 奪三振179 <24歳>
2006 斉藤和巳(ソフトバンク)
防御率1.75 18勝5敗 勝率.783 奪三振205 <29歳>
☆金子千尋(オリックス)
防御率1.91 15勝5敗 勝率.750 奪三振194 <31歳> ※成績は9月25日現在