○ ヤンキース 6x － 5 オリオールズ ●
＜現地時間25日 ヤンキー・スタジアム＞

　ついにこの日がやって来てしまった。現地時間25日、ヤンキースの今シーズン159試合目は、本拠地での最終戦。すなわち、今シーズン限りでの引退を発表した『生きる伝説』D・ジーターのヤンキー・スタジアムでのラストゲームとなる。

　ヤンキース一筋20年。その間、世界一に輝くこと実に5回。数々の栄光を掴み取ったニューヨークの英雄の聖地最終戦、チケットはもちろん完売で、心配されていた雨も試合の開催を妨げるほどにはならずに済んだ。

　キャリア2745試合目の出場となるジーターはこの日も「2番・遊撃」でスタメン。1回、先頭のガードナーが安打で出塁し、無死一塁で迎えた第1打席。満員の観客が総立ちとなって見守る中、オリオールズ先発・ゴーズマンの投じた5球目、真ん中やや内寄りの速球を振りぬくと、打球は左中間フェンスを直撃。あわや本塁打という当たりは一塁走者を悠々ホームに還す先制の適時二塁打。いきなり最初の打席で自身3462本目の安打と544本目の二塁打、そして1308個目の打点をマークした。

　第2打席は遊ゴロ、第3打席は空振りの三振に倒れたジーター。2－2と同点の7回一死満塁のチャンスで第4打席が回ると、2球目の内角球に詰まらされるも、併殺を狙った遊撃手・の二塁への送球が逸れ、一気に二者が生還。相手の失策ではあるが、ジーターのバットから勝ち越し点が生まれる。

　試合は5－2で迎えた9回、黒田からバトンを受けたロバートソンが大誤算。2本の本塁打を浴びるなどまさかの3失点で5－5の同点に。黒田の勝利投手の権利も消え、異様な雰囲気に包まれるヤンキー・スタジアム。しかし、この後ドラマが待っていた。

　その裏、先頭の9番ピレラが安打で出塁すると1番に帰ってガードナーが犠打。一死二塁でジーターの第5打席。整えられた最高の舞台でジーターはその初球を迷わず振りぬくと、打球は一二塁間を抜け、二塁走者が生還。自らのラストゲームでサヨナラ打を放つという最高のシナリオで、本拠地のファンを熱狂の渦に巻き込んだ。

　ジーターは5打数2安打3打点。先制点と勝ち越し点、そして最後にサヨナラの打点を挙げる大活躍で自身のメモリアルゲームに華を添えた。

　残念ながらプレーオフ進出は叶わなかったヤンキース。泣いても笑ってもジーターのユニフォーム姿を見られるのはあと3試合。明日から永遠のライバルであるレッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークに乗り込む。野球史に残る偉大な選手の最後の勇姿を、しかとこの目に焼き付けたい。