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阪神が優勢?明日開幕の日本シリーズを『Position-By-Position』で分析してみた

 運命の一日・ドラフト会議が終わり、明日からはいよいよ2014年シーズン最後の戦いである日本シリーズの幕が開ける。

 3年ぶり15度目の出場となるパ・リーグ王者の福岡ソフトバンクホークスと、シーズン2位からCSを勝ち上がり、9年ぶり6度目の出場となる阪神タイガースによる対戦。両者の対決は2003年以来、11年ぶりのこと。その時はソフトバンク(当時はダイエーであった)が4勝3敗で日本一に輝いている。

 今回はシリーズの行方を占うに当たって、米国スポーツメディアでよく用いられる「position-by-position」という方法で両チームを分析してみた。

 この「position-by-position」とは、両チームの選手を守備位置や先発、リリーフなどの役割ごとに優劣を決め、最終的にどちらのチーム力が上回っているかを判定するという手法である。


 まずは捕手。ソフトバンクは細川亨がCSでも全試合でスタメン出場。対する阪神はシーズンではルーキーの梅野隆太郎が捕手として最多の67試合に先発出場をしたものの、CSは経験豊富なベテラン・鶴岡一成が最多の4試合でスタメンマスクを被り、メッセンジャー先発時のみ藤井彰人がマスクを被るという形であった。

 短期決戦ではいつにも増して慎重なリードが求められるため、守備で神経を消耗してしまいがちなポジションであるが、セ・リーグの本拠地である甲子園ではDH制がない中での試合になるため、打の方でも貢献が求められる。その中で細川はシーズンの打率こそ.190も、CSは6試合で.429(14-6)で1本塁打と当たりを見せた。阪神は鶴岡と藤井、2人合わせてもCS6試合で2安打に留まっており、ここではソフトバンクの“意外性の男”に分があるか。 【アドバンテージ:ソフトバンク】

 一塁手は李大浩とマウロ・ゴメス。共にチームの4番を打つ打者であるが、数字を見るとゴメスが李大浩を圧倒。李大浩は打率こそ3割に乗せたものの、打点は68でトップテンも入っていない。CSでは5打点を挙げたが、ゴメスは同じ試合数でセ新記録となる8打点を挙げており、ここは打点王を擁する阪神が優勢と言えるだろう。 【アドバンテージ:阪神】

 二塁手は明石健志と上本博紀。ソフトバンクは本多雄一の復帰も囁かれているが、明石もCSで.304(23-7)と活躍。第4戦からは今宮に代わって2番に入っている。対する上本もシーズンでは123試合で1番スタメンを果たすも、西岡が1番に入ったことでCSでは2番としての起用。その中で.348(23-8)と活躍し、打線をつなぐ潤滑油としての活躍を果たしており、ここは均衡している。若き2人が大舞台で普段通りの活躍ができるか、注目だ。 【アドバンテージ:なし(同点)】

 三塁手は松田宣浩と西岡剛。松田は第4戦で4安打2打点の大暴れ。プレーオフ新記録となる6打席連続安打を記録し、打率も.346(26-9)とお祭り男ぶりを発揮した。しかし、西岡も1番抜擢に応える大活躍で打率は.370(27-10)とチームのCS突破に大きく貢献。打点も松田と同じく2打点を挙げており、この勢いに乗る2人の比較は西岡がやや上回るか。 【アドバンテージ:阪神】

 遊撃手は今宮健太と鳥谷敬。今宮はシーズン不動の2番として132試合に出場も、CSでは第4戦から8番。打率も.136と苦しみ、失点につながる失策など攻守に精彩を欠いた。一方の鳥谷はCS全6試合で安打を記録し、打率は.391(23-9)、打点も3とチームの快進撃を支えた。ここは鳥谷の攻守に渡る安定感に分がある。 【アドバンテージ:阪神】

 左翼手は両チームが誇るアベレージヒッターの2人、内川聖一とマット・マートン。内川はシーズンの打率が.307とこの人にとっては少し物足りない数字。CSでも本塁打こそ2本放つも打率は.269で三振を5つ喫するなど、らしくなさが目立った。ただし、マートンも6試合で5打点を挙げたが、打率は.217(23-5)と首位打者らしからぬ数字。この2人の開眼はシリーズのカギを握りそうだ。 【アドバンテージ:なし(同点)】

 中堅手は柳田悠岐と大和。柳田は停滞する打線の起爆剤としてシーズン最終盤から1番に入ると、このCSもすべての試合で1番を務め、先頭打者本塁打を放つなど打線の火付け役として活躍。先頭打者らしからぬフルスイングは相手にとっても脅威であろう。大和は第3戦の9回二死の場面で試合を終わらせるスーパーキャッチを見せるなどさすがの守備を見せたが、バットの方では6試合で3安打に留まった。ここはソフトバンクが優勢。 【アドバンテージ:ソフトバンク】

 右翼手は中村晃と福留孝介。中村はパ・リーグ最多の176安打を放った若きリードオフマンであるが、シーズン終盤から1番の座を柳田に明け渡し、CSでも6番が定位置となった。不調はCSでも続き、打率は.105。わずか2安打に終わっている。レフティ・スナイパーの復調なくしてチームの打線爆発はない。一方の福留は中村とは対照的に現在絶好調。シーズン中は和田采配の象徴的な存在として批判の的にもなった男は、チームにとって最も重要な時期である9月、10月で.357と打ちまくり、CSでもファーストステージ初戦で前田健太を沈める一発を放つなど、途中出場含む全6試合に出場し、全試合で安打。打率.333(21-7)で2本塁打3打点と大活躍を見せた。ここでの勢いの差は歴然、阪神が優勢。 【アドバンテージ:阪神】

 指名打者は吉村裕基と新井良太。なんといっても吉村はCSのMVP。安打は5本に留まったものの、うち4安打が適時打で6打点をマークした。対する新井良太はCSで腰痛から復帰。第3戦ではスタメン出場を果たすも無安打に終わった。普段DH制のない阪神がヤフオクドームでどのような戦い方を見せるか注目だが、ここではCSMVPの吉村擁するソフトバンクが優勢。 【アドバンテージ:ソフトバンク】

 野手部門最後はベンチ。控えの層の厚さではソフトバンクがレギュラークラスの捕手・鶴岡慎也を擁し、迷わずに代打攻勢を決断できる環境にある。代打で控えるのも故障の具合が不安であるものの昨年の首位打者・長谷川勇也、キューバ人助っ人のカニザレス、右の大砲・江川智晃、そして三冠王・松中信彦と左右バランスよく揃っているのは大きな強みだ。 【アドバンテージ:ソフトバンク】

 ここからは投手陣の比較。まずは先発。ソフトバンクは6戦目までもつれたファイナルステージの戦いが物語るように、やや手薄な印象。復活した大隣が見事な投球を見せ、スタンリッジも力投を見せたが、それに続く中田賢一はやや安定感に欠け、摂津は第3戦で日本ハム打線に打ちこまれた。阪神はメッセンジャー、藤浪の柱に加え、シーズンではやや精彩を欠いていた能見がエースの意地を見せて好投。CS6試合すべてで先発投手が2失点以内に抑えると言う見事な内容であった阪神が優勢と言えるだろう。 【アドバンテージ:阪神】

 中継ぎも、シーズンではソフトバンクが救援防御率12球団トップという盤石の布陣で勝ち星を重ねたが、ファイナルステージ第5戦では頼みの中継ぎ陣が失点を重ねて逆転負けを喫している。対する阪神はこの大一番で中継ぎ陣が完璧な仕事をこなしている。福原、安藤の両ベテランに若く活きのいい松田と左殺しとして巨人の阿部を封じ込めた高宮など中継ぎ陣はCS6試合で無失点。シーズンの実績ではソフトバンクだが、ポストシーズンに入ってからの勢いで阪神が上回る。 【アドバンテージ:阪神】

 抑えはデニス・サファテと呉昇桓。共に抜群の安定感でチームを支えた2人であるが、ここに来て勢いがあるのは阪神の守護神・呉昇桓か。CSは6試合全試合に登板し、最終戦で2本塁打を浴びるも、それまでは無失点を継続。イニング跨ぎを苦にせず、ファーストステージ第2戦では3イニングを投げるなど大車輪の活躍を見せた。終盤に来て存在感を増すセのCSMVP擁する阪神が抑え部門でもリードしている。 【アドバンテージ:阪神】

 最後は監督。ソフトバンクの秋山監督は2度目、阪神の和田監督は初の日本シリーズとなる。経験では秋山監督が上だが、1番西岡に始まる打順変更、好調中継ぎ陣の起用、福留の復活などにより、ここに来て和田監督の手腕が再評価される流れとなっている。経験か、勢いか。この日本シリーズは監督の手腕にも注目して見て行きたい。 【アドバンテージ:なし(同点)】

 以上、集計すると7-4(同点2)で阪神優勢というのがここでの見解となる。明日から開幕する日本シリーズ、頂点に登りつめるのは、果たして。
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