FA権行使の手続きが終了となる11日、去就に注目が集まる中で沈黙を貫いていた日本ハムの小谷野栄一、オリックスの金子千尋、阪神の鳥谷敬の3人が駆け込むように揃ってFA宣言を行った。

　大きな驚きをもって伝えられたのがオリックスのエース・金子千尋の国内FA権の行使。海外志向が強く、今オフは踏み切るとしてもポスティングだろうとの見方が多かった。しかし、そんな中でのFA宣言。大方の見方はポスティングを容認させるための“駆け引き”ではないか、というものだ。

　FA宣言すれば、金子クラスの投手ならばどこのチームでも欲しいもので、残留となる可能性は極めて低い。ならば国内他球団への移籍で金銭補償を選択するよりも、ポスティングを容認して海外挑戦を認める方がオリックスの利益になるのは明白。国内他球団への移籍となれば、当然ペナントで対戦することになる相手の強化にも繋がってしまうという点も含めて、球団にポスティング容認を迫る一手として打ってきたものであると見られる。

　金子からすれば、選択の範囲内で最善を尽くした。あとは球団側がどう動くのか。リーグを代表する投手の去就は、このストーブリーグで最大の注目ポイントになる。

　また、かねてから海外挑戦を希望していた阪神の鳥谷は海外FA権の行使を宣言。球団は全力で残留要請をするつもりであるが、本人の意思は固そうだ。ただし、鳥谷に対してブルージェイズやナショナルズが獲得に興味を示しているとの報道があるものの、ブルージェイズには今季143試合に出場したホセ・レイエス、ナショナルズには154試合に出場したイアン・デスモンドといった遊撃手のレギュラーがいる。レイエスは31歳、デスモンドは29歳と共に鳥谷よりも若く、日本屈指の遊撃手に与えられるポジションは二塁や三塁、もしくは遊撃手のバックアッパーになると見られている。

　残留宣言が続いていた今年のストーブリーグであったが、最終日に一気に過熱。FA宣言した選手との交渉が解禁になるのは13日。各球団がどのような動きを見せるか、注目だ。

【FA宣言した選手】　※→は興味を示すと言われる球団

鳥谷敬（阪神）

内野手　11年目/33歳　 今季推定年俸：3億円
今季成績：144試合 打率.313 本塁打8 打点73
通算成績：1545試合 打率.285 本塁打120 打点677
→ブルージェイズ、ナショナルズ

金子千尋（オリックス）

投手　10年目/31歳　今季推定年俸：2億円
今季成績：26試合 16勝5敗 防御率1.98
通算成績：232試合 90勝48敗 防御率2.69
→[NPB]ソフトバンク（※ポスティング容認なら…パドレス、レッドソックス）

小谷野栄一（日本ハム）

内野手　12年目/34歳　今季推定年俸：7000万円
今季成績：84試合 打率.296 本塁打4 打点29
通算成績：1088試合 打率.266 本塁打56 打点467
→西武、オリックス

相川亮二（ヤクルト）

捕手　20年目/38歳　今季推定年俸：1億1000万円
今季成績：58試合 打率.250 本塁打2 打点21
通算成績：1402試合 打率.259 本塁打65 打点451
→巨人

成瀬善久（ロッテ）

投手　11年目/29歳　今季推定年俸：1億4400万
今季成績：23試合 9勝11敗 防御率4.67
通算成績：201試合 90勝66敗 防御率3.16
→ヤクルト、阪神、オリックス

金城龍彦（DeNA）

外野手　16年目/38歳　今季推定年俸：4000万
今季成績：90試合 打率.200 本塁打0 打点11
通算成績：1856試合 打率.279 本塁打103 打点582
→巨人

大引啓次（日本ハム）

内野手　8年目/30歳　今季推定年俸：7000万
今季成績：132試合 打率.245 本塁打5 打点47
通算成績：895試合 打率.254 本塁打27 打点231
→ヤクルト、楽天、オリックス