新シーズンの開幕へ向けて、ヒートアップしていくのがチーム内でのポジション争い。特に毎年たのしみを提供してくれるのが、投手の勲章“開幕投手”を巡る争いだ。

　ここでは、2年連続で最下位に沈むヤクルトの“開幕投手”争いに迫る。巻き返しを誓うチームは真中満新監督を迎え、積極的な補強を敢行。FAで成瀬善久、大引啓次の2人の獲得に成功し、逆襲へ向けた陣形を整えた。好スタートを切りたい新生ヤクルトの開幕マウンドを務めるのは、果たして誰なのか。まずは、過去20年の開幕投手を振り返る。

ヤクルト・過去20年の開幕投手

1995　岡林洋一（●）☆優勝・日本一
1996　テリー・ブロス（○）
1997　テリー・ブロス（○）☆優勝・日本一
1998　石井一久（●）
1999　石井一久（○）
2000　石井一久（○）
2001　石井一久（○）☆優勝・日本一
2002　藤井秀悟（○）
2003　ケビン・ホッジス（●）
2004　ジェイソン・べバリン（○）
2005　石川雅規（○）
2006　石川雅規（○）
2007　石井一久（－）※チームは敗戦
2008　石川雅規（○）
2009　石川雅規（●）
2010　石川雅規（●）
2011　石川雅規（●）
2012　石川雅規（○）
2013　館山昌平（－）※チームは敗戦
2014　小川泰弘（○）
開幕戦成績：12勝8敗（勝率.600）

　最多は石川雅規の7回。昨年は2年目の小川泰弘が開幕戦のマウンドに登り、6回1失点の好投。ルーキーの西浦直亨が初回にプロ初打席で3ランをかっ飛ばすなど、一挙7点を挙げる攻撃でDeNA先発・三嶋を沈めた。20戦12勝で最大連敗も3と、開幕戦はやや得意な傾向にある。

2015年開幕投手争い展望

[本命◎] 小川泰弘
[対抗○] 成瀬善久、石川雅規
[　穴▲] 由規

　ヤクルトの2015年シーズンは、広島との対戦で幕を開ける。真中新監督は、「一番いい投手を投げさせる」と話したものの、「迷えるだけでも幸せ。2月に決める」とキャンプを見て判断する方針。本命に挙げられるのは昨年も開幕投手を務めた“ライアン”こと小川。打球を右手に受けるアクシデントによって離脱を余儀なくされたが、最終的には9勝をマーク。2年目ながら貫禄すら見せつけた。

　対抗は過去20年で最多の開幕登板を誇る石川と、FAで獲得の成瀬。石川の経験もさることながら、成瀬もロッテ時代に2010年～2014年まで5年連続で開幕投手を務めた経験を持っている。また、成瀬が開幕投手になると、広島やロッテで活躍したネイサン・ミンチー以来の両リーグ開幕投手の快挙となる。

　最後に単穴は、今シーズン復活を期す由規。大きな期待を背負って入団した快速右腕も、ここ3年は一軍登板なし。自ら「勝負の年」と位置づける今シーズンに向け、すでに捕手を座らせた投球練習も行うなど、順調ぶりをアピール。一発逆転の可能性もある...?

　その他にも、昨年のドラ1右腕・杉浦稔大や、復活にかける館山昌平、村中恭兵、八木亮祐、赤川克紀ら駒は揃うヤクルト。問題は何人が健康な状態でシーズンに挑み、戦うことができるか。リーグ屈指の打線を持つチームだけに、投手陣が揃えば最下位から一気の下克上も見えてくる。