「アリガトウゴザイマス。コンバンワ～」――。来日から2年、初めてお立ち台に登った助っ人の第一声は日本語だった。

　ソフトバンクの助っ人バーバロ・カニザレスは13日、本拠地で行われたオリックス戦に「7番・指名打者」で先発出場。4打数2安打、来日第1号を含む2打点の活躍で、その試合のヒーローに選ばれた。

　14年にキューバからやって来た190センチ、109キロの大砲は、チームの分厚い層と外国人枠を争う狭き門に阻まれ、2年間の通算でも出場はわずかに10試合に留まっている。

　昨年、ファームでは70試合に出場し、規定打席には届かずも打率.302、8本塁打で33打点を記録。ウェスタンを制したチームで活躍を見せると、今年もここまでリーグ2位の打率.312をマーク。14本塁打はリーグトップで、44打点もリーグトップタイ。二軍ではあれば三冠王も射程に捉えるほどの成績を残す。

　それでも、チームはスタンリッジ、バンデンハーク、サファテと投手に3枠を使い、打者には不動の5番・李大浩がいる。さらに春先はセットアッパーとして活躍したバリオスもおり、カニザレスは助っ人の中で“第6の男”扱い。昇格のチャンスはなく、二軍の帝王となりつつあった。

　ようやく訪れたチャンスがこの8月。スタンリッジが夫人の出産のため、一時登録を抹消。内川の状態が思わしくないこともあり、二軍で打ちまくっていたカニザレスにようやく順番が巡ってきた。

　8月12日、昇格当日に代打でシーズン初打席初安打を放つと、13日にはスタメン出場のチャンスを掴み、内川の不在を埋める活躍。出番を待ち続けた男がついに一軍の舞台で輝きを放った。

　ただし、スタンリッジの抹消は一時的なもの。すぐにまた外国人枠の問題と直面することになる。「チーム状況も、枠のことも理解している」と語っているカニザレスだが、それではあまりにも不遇すぎる。

　そこで、気になるのがオフの去就だ。来日から2年で日本野球への順応も済んでおり、不遇な扱いにも腐らずにプレーできる気性の良さも兼ね備える。推定年俸が4500万円と安い点も魅力的で、今年11月で36歳を迎えるという年齢的な問題はあれど、貧打に苦しむ他球団から声が掛かってもなんら不思議ではない。

　カニザレスがこれまでのうっぷんを晴らすような大暴れを見せた時、ソフトバンクやその他11球団はどう動くか。これからオフにかけての密かなたのしみとなりそうだ。

バーバロ・カニザレス

・生年月日：1979年11月21日（35歳）
・出身：キューバ
・身長/体重：190センチ/109キロ
・ポジション：内野手
・投/打：右投/右打

＜一軍＞
2014年：8試　率.308（13－4）本0　点2
2015年：2試　率.600（5－3）本1　点2

＜二軍＞
2014年：70試　率.302（179－54）本8　点33
2015年：77試　率.312（231－72）本14　点44