オープン戦にまつわる“言い伝え”
80年以上の歴史を誇る野球界には、数多くの“格言”、“言い伝え”のようなものが存在している。その中でも、この時期よく聞くものに、「オープン戦の成績はアテにならない」というものがある。
理由としては、オープン戦の目的はあくまでもシーズンに向けた調整にあり、期待の若手や新戦力のチェックというテスト的な要素が強くなるため。
勝利にこだわったプレーというよりは、ある程度各自に任せながらプレーさせることが多く、オープン戦で圧倒的な強さを誇っていても、いざシーズンが始まると途端に勝ち星を取りこぼすなんてことも珍しくないのだ。
巡り巡って「オープン戦で活躍しすぎるとシーズンでは苦しむ」という迷信まで生まれるほど、オープン戦の成績というのは求められてこなかったのだが、近年の流れを見てみると、そうとも言い切れないのかもしれない。
ここ3年続けてオープン戦優勝チームがリーグも制覇!
まずは、最近10年間のオープン戦優勝チームと、そのチームのシーズン結果を見てみよう。以下のようになる。
【オープン戦優勝チームのシーズン結果】
2015年 ソフトバンク(11勝5敗1分/率.688) → 優勝・日本一
2014年 ソフトバンク(15勝2敗2分/率.882) → 優勝・日本一
2013年 巨人(10勝4敗3分/率.714) → 優勝
2012年 ヤクルト(9勝3敗2分/率.750) → 3位
2011年 阪神(6勝2敗4分/率.750) → 4位
2010年 日本ハム(8勝3敗1分/率.727) → 4位
2009年 ソフトバンク(15勝7敗2分/率.682) → 3位
2008年 西武(8勝3敗2分/率.727) → 優勝・日本一
2007年 西武(10勝2敗5分/率.833) → 5位
2006年 西武(10勝5敗2分/率.667) → 2位
たしかに、2006年から2012年までの7年間では、オープン戦を優勝してリーグ戦も優勝したチームというのは2008年の西武だけ。Bクラスに沈んだというケースも少なくない。
ところが、2013年に巨人がオープン戦を制し、そのままセ・リーグを制すると、昨年と一昨年のオープン戦覇者・ソフトバンクは2年連続で日本一まで登り詰めている。
“言い伝え”を打ち破ったこの3チームに共通して言えるのは、オープン戦の良い勢いをそのままレギュラーシーズンにも持ち込むことができたということだ。
今年は4チームが並ぶ大混戦!優勝の行方は…
これまでの流れを変えた2013年の巨人を見てみると、3・4月で18勝10敗2分と8つの勝ち越し。7割近い勝率を残すスタートダッシュを決めた。
2014年のソフトバンクは、3・4月の順位こそオリックスの後塵を拝す2位となったものの、15勝10敗1分で勝ち越し5つと申し分ないスタート。2015年も日本ハムに次ぐ2位だが、13勝11敗2分でまずまずのスタートを切っている。
何にしても、出だしが肝心。スタートをしっかり決めるためにも、オープン戦でいい流れを作っておくことは重要な要素となると言えそうだ。
今年のオープン戦も残すは2試合。序盤はソフトバンクが無敗で突き進むなど今年も強さを見せていたが、ここに来て4連敗と下降気味。19日の試合では3点リードで盤石の救援陣に託しながら、新井貴浩に代打逆転満塁弾を許すなど、最終的には9点を奪われて敗れ去った。
昨年の王者が6位に沈む中、ロッテ、広島、楽天、阪神の4チームが勝率.667でトップに並ぶ大混戦。近年稀に見るデットヒートを制し、シーズンに弾みをつけるのはどのチームか。最後の2試合から目が離せない。
【オープン戦・日程】
<3月20日>
日本ハム-ヤクルト(札幌ドーム/13時)
DeNA-楽天(横浜/13時)
阪神-オリックス(京セラD大阪/13時)
ソフトバンク-広島(ヤフオクドーム/13時)
巨人-西武(東京ドーム/14時)
中日-ロッテ(ナゴヤドーム/14時)
<3月21日>
日本ハム-ヤクルト(札幌ドーム/13時)
DeNA-楽天(横浜/13時)
オリックス-阪神(京セラD大阪/13時)
巨人-西武(東京ドーム/14時)
中日-ロッテ(ナゴヤドーム/14時)
広島-ソフトバンク(マツダスタジアム/14時)