外野は高山、横田の若手2人がスタメン出場中!
キャンプから熾烈な戦いが伝えられていた、阪神の二塁と外野のポジション争いだが、開幕からここまでのメンバーを見ると、金本監督は開幕前にきちんと答えを出していたようだ。マートンの退団に伴い、右翼の福留孝介以外は、江越大賀、伊藤隼太を含めて、横並びと思われていた外野のポジション争いだが、監督にとってはうれしい誤算によって決着した形となった。
ルーキーの高山俊が左翼、プロ3年目の横田慎太郎がセンターの開幕スタメンをつかみ、ここまでは右翼の福留を含め、この3名で先発出場を続けている。
昨年のルーキーイヤーに開幕一軍をつかみ、レギュラー獲得とまではいかなかったもののクライマックスシリーズでも活躍した江越は、昨シーズンの経験をステップにポジション獲得を期待されていたが、開幕以来、代打と守備での途中出場のみとなっている。
まだ開幕からまだ間もない段階での評価となるが、安定した打撃を見せる福留、チャンスで強いバッティングで打点を伸ばす高山、オープン戦ほどのインパクトはないものの大きなミスもなく、ブレイクの期待がかかる横田。
今のところ付け入るスキは少ないように感じるが、対戦も一回りし、シーズンの流れもわかり始める頃には状況もまた変わってくるだろう。いずれにしても、4月18日で23歳になる高山、今年の3月で23歳となった江越、そして高卒3年目で今年21歳になる横田というフレッシュな3人でのポジション争いは、阪神にとって将来楽しみな事態と言えるだろう。
二塁は西岡がスタメン出場!
一方、野球選手として円熟期に入ってきた3名が繰り広げた二塁争いはというと、キャリアで勝る西岡剛がここまではリードしている状況だ。プロ入り8年目今年30歳になる上本博紀は、14年に一度はつかみかけた二塁のレギュラーポジションを昨シーズンの打撃不振とケガで手放すかたちとなり、今季は代打だけでの出場となっている。野球関係者から「天才」と言われる打撃センスもまだ見られていない。
そして、高卒11年目29歳になる大和も、出場試合数は上本より多いものの、全て試合後半での代打か守備での出場にとどまっている。高校時代からの内野守備を評価されての入団だったが、出場機会を求め、自らの希望で外野守備練習を開始。そのかいあって、13年には内野手登録のまま、中堅での出場でプロ入り後はじめて規定打席に到達した。
翌14年からは登録も外野手に変更し、開幕からセンターでの出場を重ね、シーズン途中の西岡、上本のケガによる二塁へコンバートはあったが、後半は中堅に復帰し、外野手でゴールデングラブ賞を受賞する。安泰かと思われた2015シーズンだったが、打撃不振からルーキーの江越にポジションを奪われ、再び上本のケガをきっかけに二塁へまわる。
今季は、外野手登録のまま、セカンドでのポジション争いを繰り広げている。さまよえる「守備のスペシャリスト」から脱却するためには、実力でポジションを奪い取ることが必要だろう。
開幕前の予想を覆し、今のところ独り勝ちとなっている西岡だが、今年32歳、キャリアの長さもあり、ベテラン選手という印象が強くなってきた。ベストナイン、ゴールデングラブを何度も受賞し、打撃でも守備でも日本最高レベルの選手であることに間違いはないが、ロッテ時代の2005年にはパ・リーグ最年少記録となる41盗塁を記録するほどだった走力に関していえば、大けがをした2014年以降、2年で盗塁1と、減少している。
大和はもちろんのこと、西岡も二塁がダメなら外野にまわる覚悟でシーズンをスタートしており、開幕に合わせて一つの答えを出した金本監督だが、今後の展開によっては、内野、外野というカテゴリーを越えてのポジション争いが再び監督を悩ませることもありそうだ。