パ・リーグに起こる異常事態
3月25日(金)に開幕した今年のプロ野球も、セ・パともに開幕から3カード(※セは27試合、パは24試合)を消化した。
今年はパ・リーグの方で、開幕カードを終えた段階で1本も本塁打が出なかったことが“珍事”として話題になった。
29日(火)にロッテの鈴木大地がパ第1号となる本塁打を放ったものの、ここまでセ・リーグでは6球団合計で38本の本塁打が飛び出しているのに対し、パ・リーグはわずかに12本だけ。リーグ1号を放った鈴木が3本塁打を記録し、並み居る強打者たちを抑えてホームランダービーのトップをひた走っている。
さらに、オリックスと楽天に至っては開幕8試合を終えて本塁打が1本も出ていないという状況。まさに異常事態となりつつある。
助っ人に差?
本塁打が多いセ・リーグに目を向けてみると、助っ人外国人の奮闘が目につく。
今シーズンから巨人でプレーするギャレット・ジョーンズや、中日のダヤン・ビシエドはここまでリーグトップの4本塁打。さらに阪神のマウロ・ゴメスも4本で並んでいる。
その他にも、こちらも今年から巨人に加入したルイス・クルーズが2本、中日から広島に移籍したエクトル・ルナや、2年前の本塁打王である広島のブラッド・エルドレッド、阪神の新助っ人マット・ヘイグがそれぞれ1本ずつ本塁打を記録。
現段階で助っ人が19本ものアーチを描いており、リーグの本塁打の約半数をまかなっているという計算になる。
一方のパ・リーグはというと、昨年30発以上を記録した日本ハムのブランドン・レアードが今年もゆったりとした出だしを見せており、ここまで本塁打は1本。2年前に本塁打王に輝いた西武のエルネスト・メヒアも、打率は3割をキープしながら本塁打はまだ出ていない。
新助っ人も、オリックスのブレント・モレルやブライアン・ボグセビックといったところはどちらかと言うと中距離タイプの打者であり、楽天に加入したメジャー通算162本塁打のジョニー・ゴームズも、まだ日本の野球に馴染めていない感が否めない。
軒並み好調な出だしを見せているセの助っ人と比べると、やや見劣りするというのが現状だ。
助っ人に限らずとも、規定打席に到達した年は6度すべてで本塁打王に輝いたという実績を持つ西武・中村剛也(西武)や、トリプルスリーのソフトバンク・柳田悠岐、日本ハムの中田翔といったところがまだ1本塁打。この結果、昨シーズン年間で6本塁打に留まった鈴木大地がホームランダービーを先頭で引っ張るという事態を招いている。
ちなみに、昨年の開幕3カードを終えた時点の成績を見てみると、セ・リーグが25本塁打でパ・リーグが29本塁打だった。「12本」というのがいかに少ない数字かお分かりいただけるだろう。
いきなり混迷を極めている2016年のパ・リーグ本塁打戦線。シーズンが終わった時、王座についているのは一体誰なのか…。ここからの戦いに注目だ。
【ここまでの本塁打数】
<パ・リーグ>
5本 日本ハム
3本 ロッテ
2本 ソフトバンク
2本 西武
0本 オリックス
0本 楽天
――
計=12本
▼ 個人トップ3
1位 3本 鈴木大地(ロッテ)
2位 2本 大谷翔平(日本ハム)
3位 1本 [7選手]
<セ・リーグ>
11本 巨人
9本 阪神
7本 中日
4本 ヤクルト
4本 DeNA
3本 広島
――
計=38本
▼ 個人トップ3
1位 4本 ダヤン・ビシエド(中日)
1位 4本 ギャレット・ジョーンズ(巨人)
1位 4本 マウロ・ゴメス(阪神)