選抜開催で甲子園での開幕戦が難しい阪神
阪神が本拠地甲子園での「開幕戦」に勝利した。夏の高校野球大会期間中に甲子園を使用できないことによる「死のロード」は有名な話だが、選抜高校野球大会と期間がかぶることにより開幕戦についても同じような問題が起きる。
過去1956年と1964年の2回だけ、選抜大会前に甲子園での開幕戦を行ったことがあり、さらにプロ野球の開幕が選抜大会終了後となったため甲子園で開幕を迎えたことも10回あるが、クライマックスシリーズ導入後の2007年からは、東日本大震災の影響で変則日程となった2011年を除き、選抜大会終了後の開幕という日程は現実的には難しくなっている。
そもそも、プロ野球の開幕戦主催権はどのように決まっているのだろうか。いまだに前年の成績上位3チームが翌年の開幕を本拠地で迎えると思っている人も多いかもしれない。実際、2001年まではセ、パ両リーグともそのような決め方だった。しかし、現在はセ・リーグとパ・リーグではルールが違うのだ。
2002年に開催されたサッカーの日韓ワールドカップの影響で、その年の日程を前年の優勝が決まる前に決定することになり、チームの成績による決定ではなく、ブームとなっていたサッカーに対抗してプロ野球を盛り上げるという趣旨のもと全国6大都市での開幕戦開催という形になった。この特例措置により、翌年の2003年からは一年ずれて、2年前の順位で開幕戦の会場が決定されることになった。
さらに2011年には東日本大震災の影響による日程変更にともない開幕戦主催権も変則的なものとなった。この年以降、セ・リーグとパ・リーグでルールの違いが生じることになる。セ・リーグは翌年の2012年から以前のルールにのっとり、2年前の順位を反映させた日程に戻ったが、パ・リーグは3年前(2012年の開幕は2009年の成績で決定)の上位3チームに開幕戦主催権を与えるとし、2003年に1年ずれたものをさらに1年ずらしたルールとなった。
これには、2009年に東北に本拠地を持つ楽天がチーム創設以来初のAクラスを達成していたことが多分に影響している。復興への足掛かりとするという意味もあり幻の開幕ホーム試合となりそうだった楽天の初開幕主催試合を、ルールを変更することで復活させたのだ。
このような経緯で2012年からはセ・リーグは2年前、パ・リーグは3年前の上位3チームに開幕戦主催権が与えられるという複雑なものになった。わかりやすさよりも公平さを重視している点を見ても、開幕戦がチームにとって非常に重要であることがわかる。
話を阪神に戻すと、2年前(2001年以前は1年前)にAクラスに入りして開幕戦主催権を獲得していても、以前は地方球場での主催ゲームや、ロードで開幕戦を迎えることもあったが、大阪ドームができてからは、オリックス(近鉄)が主催権を持っていない場合にはホームゲームとして大阪ドームを使用すること多くなった。
両チームが主催権を持っていた2010年にはパ・リーグが日程を変更してずらしたこともある。昨年の成績により、2017年にはふたたび両チームが主催権をもつことが決定しており、セ・パ両リーグ同時開幕が浸透してきている中でどのような日程となるかも注目だ。
ここ10年の甲子園「開幕戦」の成績を見てみると、2007年~2013年までは、今年から監督をつとめる金本のサヨナラ二塁打で勝利した2009年の広島戦を含め7年連続で勝っていたが、昨年と一昨年はともにDeNAに負けている。
4月8日広島戦の勝利で3年ぶりに甲子園開幕戦を飾ったのだ。ベテラン西岡のサヨナラヒットでの逆転勝利という劇的な展開も花を添え、3月25日京セラドームでの開幕戦の負けを取り返す「開幕」となったのではないだろうか。
ルーキー高山の活躍や藤川の復活勝利など明るい話題が続く阪神が、待ちに待った地元のファンの目の前で今年の活躍を誓う大きな1勝をあげた。