ワールドシリーズに出場したことがない球団
“ワールドシリーズ”――。メジャーで両リーグを制したチーム同士が対戦し、メジャー最強を決める秋の祭典。昨年は、カンザスシティ・ロイヤルズが4勝1敗でニューヨーク・メッツを下し、2度目の世界一に輝いた。
全米一なのに世界一。異論もあるだろうが、メジャーリーグは全世界から野球のエリートが集まってくる集団。それゆえ「世界一」なのだ、というのが米国の総意となっている。
最近では、プロ野球の日本一球団と真の世界一を決める「グローバル・ワールド・シリーズ」の開催も検討されているようだが、実現にはまだ時間がかかりそうだ。
このワールドシリーズ、制した回数が一番多いのは、ニューヨーク・ヤンキースで27度。次いで、セントルイス・カージナルスの11度となっている。
一方で、世界一にまだ一度も輝いていない球団というのが、現存するメジャー30球団中8球団もある。内訳は、パドレス、レンジャーズ、ブリュワーズ、アストロズ、ロッキーズ、レイズ、マリナーズ、ナショナルズ。
そのうち、一度もワールドシリーズに出場したことがないのが、マリナーズとナショナルズの2球団だ。
初の“世界一”へ…戦力充実のナショナルズに期待!
ナショナルズの前身はエクスポズ。2004年まではカナダのモントリオールを本拠地にし、球団名はモントリオール・エクスポズだった。2005年に米国の首都・ワシントンDCに本拠地を移し、球団名をワシントン・ナショナルズに変更している。
エクスポズ時代から含め、ワールドシリーズ出場は一度もない。つまり、ナ・リーグのチャンピオンになったことが一度もないのだ。
ナショナルズは、ナ・リーグ東地区の所属。近年は安定した成績を収めていて、2012年と2014年には地区優勝も果たした。
しかし、いずれも地区シリーズで敗退。昨年は1シーズンで2度のノーヒッターを達成したシャーザーを軸に、ジマーマン、ストラスバーグ、ゴンザレス、フィスターというMLB屈指の強力先発陣を形成。優勝候補の筆頭にも挙げられたが、シャーザー以外は期待通りの成績を残せず。地区2位に終わり、ポストシーズン進出も逃してしまった。
オフにはジマ-マンが退団したものの、シャーザーやゴンザレス、ストラスバーグ、ロス、ロークとしっかり先発5本柱を形成し、投手陣はまずまず。
打つ方も、3番のハーパーが今年も健在。現地時間14日のブレーブス戦では本塁打を放ち、メジャー史上8番目の速さで通算100号を記録した。米メディアが「野球界のレブロン・ジェームス(NBAスター)」と持ち上げるほどの逸材が、チームを牽引する。
そして、そのハーパーのあとの4番を打つのがマーフィー。現地時間14日時点で8試合を消化し、打率は驚異の.462。打点も5つ挙げるなど、チャンスに強い打撃を披露している。
東地区の中では安定感があり、なおかつ破壊力ある打線は今年も魅力十分。投打がかみ合えば、ポストシーズン進出への道は開ける。
1969年に創設されたエクスポズは、2005年にチーム名がナショナルズに変わった。球団創設47年、悲願の世界一へ。まずは初のリーグ優勝を目指す。
今年こそナショナルズの大躍進なるか、期待したい。