ニュース 2016.04.30. 08:00

勝負の4年目 中日・杉山翔大の成長は本物か

捕手に苦しんだ昨季の中日


 中日、待望の正捕手誕生の予感がする。昨年は計6人の捕手でシーズン143試合を回した。一軍でマスクを被ったその6選手の顔ぶれを整理すると、桂依央利が46試合、加藤匠馬が2試合、杉山翔大が61試合、武山真吾が10試合、谷繁元信が26試合、松井雅人が49試合(捕手としての出場試合数)。

 最も機会の多かった杉山翔大でも、61試合と、全143試合の半分にも達していない。まさに深刻な正捕手不足の年であった。各選手の出場試合数の合計から、一試合の中でも、複数の捕手が併用される機会が多かったことが伺える。

 今年から、長年中日の扇の要を務めた谷繁監督が専任監督になった。自らマスクを被らない立場になったことで、指揮官が扇の外から、「要」に要求する内容はより高いものになることが予想される。

頭角を現した杉山


 そんななか、27試合終了時点、14試合でマスクを被り、4月中盤から正捕手候補として頭角を表しているのが、4年目の杉山翔大だ。杉山は、早稲田大学から12年ドラフト4位で入団した。早稲田大学時代に、平成7人目の東京六大学三冠王に輝いた強打の捕手として期待されていたが、1、2年目は、一軍デビューはおろかファームでも結果を残すことができなかった。

 しかし昨年、5月20日の広島戦で、代打として一軍デビューを果たすと、同月26日にはスタメンマスクを被り、捕手としてのデビューも果たした。シーズン終了までに捕手の中で最多の61試合でマスクを被ったものの、7つの失策、打率も.183と、課題の残るシーズンとなった。

 今季は4月16日のナゴヤドームの阪神戦でサヨナラタイムリー二塁打、26日のDeNA戦で勝ち越しタイムリーを含む猛打賞と、課題の打撃も、大学時代の輝きを取り戻しはじめ、好調なチームを支える活躍を続けている。

 杉山は、早稲田大学時代、打撃を買われ、内野手にコンバートされた経験をもつ。捕手へのこだわりが強い杉山は、扇の要を外れたことを悔しがった。今年は、正捕手の座を掴む最大のチャンスになるかもしれない。

 そして谷繁監督が、長いシーズンを通して、杉山という要をがっちり掴み、扇を仰ぐことができたとき、3年連続Bクラスに沈むドラゴンズの5年ぶりの優勝の強力な追い風になる。捕手として、打者として、杉山の4年目に期待したい。

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