今や「野球を見る」だけではない!
野球観戦に行ったことがある方々、日本の野球場をどう思いますか?
「よかった、また行きたいね」、「二度と行かないよ、あんな試合じゃあね」と、贔屓チームの勝敗によって、2度目の観戦へのモチベーションも変わってくるのはしかたない。ここでの話は、野球場自体のハード面のことだ。
東京ドームで野球観戦をした人からは、こんな声を聞いた。「見やすいし、温度も一定。快適だった」。座った席についても「座席はちょっと固いけど、まあ、あんなもんでしょう」と、それほど不満はない様子だった。
仙台の楽天Koboスタジアム宮城で野球観戦した人に聞けば、「野球を見に行きましたが、たとえば、球場の外でイベントをやっていたり、観客を楽しませようという気持ちが伝わりました。また行きたいですね」と、満足そうに語ってくれた。
日本の野球場は、今や野球を見るだけの空間ではない。そこに広がるのはエンターテインメント。野球だけを楽しむ空間ではなく、野球をあまり知らない人にも楽しんでもらおうという企画が目白押しなのだ。
お笑い芸人や歌手、アイドルを招き、スタジアム横の広場でライブをやったりもする。また、選手がサイン会や握手会を開いたりもしている。
それはそれで楽しみなイベントなのだが、昔からの野球ファンからしてみると、少しばかり“場違い”な雰囲気を感じることもあるのかもしれない。
良い球場なくして野球は楽しめない!
昔の球場を思い返してみる。たとえば、南海ホークスの本拠地・大阪球場は、コアな野球ファンにはたまらない球場だった。
そもそも、観客が少ない。それゆえ、ファンが話す声や選手が話す声がはっきり聞こえるのだ。
大阪球場名物の“ヤジ”も面白かった。「お前ら、ちゃんとメシ食うてんのか」、「昨夜はミナミで飲み過ぎたな」、「遊びすぎて、腰が使えてないじゃないか」などなど...。たまに、カチンときた選手がファンへ言い返すなんてこともあったが、選手もファンも、そんなやりとりを楽しんでいた。
日本に初めてできたドーム球場・東京ドームが出来た頃、後楽園球場を懐かしむファンもいたが、ほとんどの観客は前述のとおり、快適さを感じている。
今も昔も、球場での一喜一憂は、それを包むスタジアムが存在することが大前提。現在の日本の野球場は、ほとんどが観客に不快な思いをさせることはないという。
韓国では“初のドーム球場”に批判殺到!?
そんな中、お隣・韓国では、初のドーム球場に批判が殺到しているという。
ソウル市内にある「高尺スカイドーム」。今年から韓国プロ野球のネクセン・ヒーローズの本拠地となった新球場だ。
しかしこの球場、当初は野球場にする計画ではなく、アマチュア用の開放スタジアムとして建設されたものだった。それが急遽、プロ野球仕様に変更。8度に渡る設計変更が繰り返され、完成したドームは継ぎはぎ式で、ゆがんだ形になってしまったという。
まず驚くのが、31席連続の座席。真ん中に座った観客は、15人に謝らないとトイレにもいけないという。ネットでは「おむつ座席」という批判の声も挙がった。
座席自体も窮屈で、ファウルボールに対して逃げられないという安全面も指摘された。さらに電光掲示板が小さく、観客席から見にくい。「望遠鏡を持ってこないといけないな」と皮肉られている。
オマケに球場周辺は慢性的な渋滞地域で、周辺の駐車場も足りていない。1万8000人を収容するが、そこにたどり着くまでの移動手段に対しても疑問の声が上がっているという。
なによりもまず、不便なく“野球”が見られるということ。「ファンあってのプロ野球」の大前提である。その点、日本の野球場はすばらしい。